こんにちは、今回縁あって、エンジニア向けにコミュニケーションに関する記事を書くことになった金子と申します。もともとはITエンジニアでしたが独立して、現在はIT系の講師業をメインにしております。本稿直前に公開されたインタビュー記事がありますので、自己紹介は割愛します。
Forkwell Pressで連載するにあたり、皆さんにお伝えしたいのはエンジニアのコミュニケーション力向上です。組織内コミュニケーションをはじめ、モチベーション管理、ファッション、健康、恋愛など、様々な切り口を予定しています。これらを用いて、コミュニケーションを掘り下げていき、皆さんのお役に立てる記事を提供していきます。
今回はイントロダクションとして、コミュニケーション力向上の必要性に関してお伝えします。
なぜコミュニケーション力を向上させる必要があるのか?
エンジニア時代も、講師としても、これまでたくさんのエンジニアと接してきました。そこで気づいたのは、上位1%に属する神エンジニアでもない限り、エンジニアこそコミュニケーション能力が大事だということです。ユーザーがどういうシステムを欲していて、どう作ればそれを実現できるか。コミュニケーションを通じてしかわかりえません。それがわかって初めて、皆さんの高い技術力が活きてくるのです。裏を返せば、どんなに技術力があっても勝手にシステムを作ってしまうのであれば、それは無駄にしかなりえません。
では、コミュニケーションが上手な人というと皆さんはどういうイメージをお持ちでしょうか?池上彰さんみたいな説明の上手い人?明石家さんまさんのように場を作りながらトークを回せる人?いろんな人を思いついたかもしれませんが、今挙げたような人たちはコミュニケーションでメシを食えるトップのスペシャリストです。そこまで目指さなくていいのです。たとえば、僕はしゃべるのが嫌です、しゃべりたくないです、チャットでお願いします、ではなく、最低限わかりやすく気持ち良いコミュニケーションができること、苦手な人であってもそれなりにこなせることが重要ではないかと考えています。
コミュニケーションの上手い下手とは?
先の例に挙げた明石家さんまさんや、池上彰さんがコミュニケーションの上手い方でしょうか?私たちエンジニアが目指すコミュニケーションとはどういうものでしょうか?
私がコミュニケーションの上手い下手をあえて定義すると、
「コミュニケーションが上手い=コミュニケーションが下手な人に歩み寄れる」ということです。
失礼を承知で申し上げると、これは「コミュニケーションが下手=取れる手段が限られている」ということです。明石家さんまさんがなぜコミュニケーション上手かというと、例えば「さんま御殿」を見ればわかりやすいと思いますが、相手のコミュニケーションが上手い下手にかかわらず自分の引き出しで、話を拡張できているからです。
一方コミュニケーション下手という人は、要件しか話せない、相手に伝わる形で正しく話せないということです。残念ながらエンジニアには後者の人が多く見受けられます。
下手から上手を目指す必要はない
ではコミュニケーションがあまり得意でない方はどこまで目指せばいいのでしょうか?
それは3段階に分けられると思います。
- 今までやったこと、できることが相手に伝えられない
- 今までやったこと、できることが相手に”わかる形”で伝えられる
- これからどうしたいか、さらに相手にどうしてほしいか意思疎通できる
もしコミュニケーションが苦手だ、難しいと思う方は2を目指すのです。あなたが神エンジニアでない限りは、必須です。なぜ必要なのか?たとえば我々の業界でありがちなプロジェクトごとに派遣されるエンジニアだったとします。
いくらエンジニア不足、売り手市場とはいえ面接がありますよね。そこで面接官が求めているのは最低限2なのです。1の方は容赦なく落とされます。私も面接官の経験がありますが、1の状態の方が非常に多いのです。
あなたが気持ちよく仕事したい、他から四の五の言われたくないのであれば、2を目指すべきなのは自明だと思います。
では、日頃どう振る舞うべきか?
自身が2まで達しているという方は3を目指しましょう。3に関しては今後の連載で触れていきます。次回は1の方を2に持っていくための、実践についてお話しします。
日頃のコミュニケーションについて何を意識すべきか。
皆さん自身を含め、コミュニケーションは多様性で成り立っているということです。なんでコミュニケーションがうまくいかないかというと、私は多様性を意識していない=メモリやCPUのようなシングルチャネルでコミュニケーションがうまくいくに違いない、という幻想が日本を支配していたからと考えています。
現在の40代50代は言わずに察するとか、みんな一様だという教育や世代感もあると思います。しかし、20代30代はそうでないことに気づいています。なのに、シングルチャネルを強制されていた、もしくはそのやり方しか知らなかった。そりゃあうまくいきませんよ。
というわけで、苦手な方がまず最初にすべきは、エンジニアだろうがどの業界だろうが自分自身を含め、自分も相手も多様性の元に存在している、ということからスタートすることです。
そう考えたならば、いつもの話し方、いつものチャット、いつもの表現では伝わらないのではないか?という疑問が出てくるはずです。それでいいんです。普段の表現では伝わらないのではないか?と思った瞬間に皆さんが発する言葉が変わってきます。
ですので、いつもと違うコミュニケーションを取る、ということがスタートです。
いつものコミュニケーションを掘り下げてみよう
いつものコミュニケーション方法がありきたりで、Slackで要件のみ伝える、口頭でも必要以上に話さない、などどういう状況があなたを支配しているか?この記事を読みながら考えてみてください。いつもの発話や手法が偏っている、特定の手段を多用しているなあと思ったならば、それ以外にどんな手法、声がけができるか。立場にかかわらず、思いついた新しい方法を次の日から試してみてください。え?それだけでいいの?いいんです。
違う手法を取るだけで、相手の受け取り方や反応が変わります。要件だけ伝えてほしいと思う人、背景含め細かい説明がほしい人、タイプはいろいろです。
まとめ:コミュニケーション上手へのステップ
まずは、あなたができること・やったことを正しく伝えられるかです。次にあなたがどうしたいか・未来のことを相手にわかる形で伝えられるか。これを実現するためには具体的にどんなトレーニングやテクニックが必要か。 それは次回の実践編に任せたいと思います。
まず、初回の本稿では
- コミュニケーションスキルアップがエンジニアのQOLを上げるキーファクターである
- コミュニケーションのステップとは
- あなたがどの位置にいるかを振り返って頂く
- 今までのコミュニケーションを振り返り、気づくだけでコミュニケーション能力の変革がはじまる
ということをお伝えしました。
次回はコミュニケーションを「話す」と「聞く」にMECE分類し、
- 話す/伝える技術、能力
- 聞く=傾聴
の2つをベースにお送りします。 ではまた次回に!
(記事:金子 雄太郎)
フルスタック・ジェネラリスト。教育コンサルとして企業向け研修を行い、内容はヒューマンスキルやITスキル向上のカリキュラムなどオールジャンルの講師を実践。コンテンツも自身で作成する。 元々は、IT業界でSEを6年半経験した後、2012年2月独立。編集業や企画も扱う。 ライティング・編集もジャンルにこだわらず。ビジネス、サイエンス、エンタメ、法曹、Webメディアとオールラウンドにこなす。 関わった人々全員を幸せにするのが、密かな野望である。