ワールドカップが終わり寝不足の日々が解消されて、皆さんご機嫌よくお過ごしでしょうか?連載「コミュニケーションのアンテナ」二回目となりました。
前回はエンジニアこそコミュニケーション能力が大事である、コミュニケーション能力には三段階あり
- 今までやったこと、できることが相手に伝えられない
- 今までやったこと、できることが相手に”わかる形”で伝えられる
- これからどうしたいか、さらに相手にどうしてほしいか意思疎通できる
ということをお伝えしました。
今回はコミュニケーションスキルアップの実践として、「話す」と「聞く」それぞれのテクニカルな実践方法をお伝えします。今回は「話す」です。なぜ「話す」から始めるかというと、あなたがうまく話せなければ、相手がエスパーでもない限り、どうやっても伝わらないからです。エンジニアとしてのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させるなら、まずは「話す」スキルの向上を優先させた方がよいでしょう。
まずは対話を通じて、伝わる形で話す
前提としてここでは、Slackなどのチャットツールやメールなどのオンラインではなく、オフラインにおけるリアルな対話のコミュニケーションについて述べていきます(チャットツールがダメ、絶対に話さないといけない、という意味ではない点、ご了承ください)。
そもそもあなたが発話しないことには、相手は察する以外にあなたの伝えたいことを理解できません。ですので、やったこと、できることをまずは伝えることが肝心です。
私自身面接官をしていたり、数多くの方々とコミュニケーションしていて気づいたのは、質問に答えられない人が多いということです。 具体例をあげます。
Q:XXさんは血液型、何型ですか?
A:(血液型に関する所感やら、血液型による分類にいちゃもんつけたりしてから)、O型です。
あなたの周り(もしくはあなた自身)にこういう人っていませんか?知識型、情報優先タイプには、意外と多いはずです。なぜなら自分が持っている情報知識を提示することが、自身の中で優先度が高いのでそれに基づいて発話してしまうからです(ちなみにこのAnswerは架空ではなく、現実に散見されます。最悪のケースは所感だけ言って血液型を言わない、というパターンがありました笑)。
ではどのように答えるべきかというと、最初に回答(何型か)を伝えてから、あなたの所感を話せばよいのです。
聞く側のことを考える
先程の事例を聞く側の立場にたって考えてみましょう。いつまで相手の話を聞いたらほしい回答がもらえるかわからないことは、ストレスに感じるでしょう。またこの状況が長く続くのなら、聞く気はもちろんコミュニケーションする気も失せてしまいますよね?
ですので、
Step 1:最初に回答を伝える
Step 2:お互い何型かとか、同じ血液型でこういうことあるよねのような共感コミュニケーションをする
Step 3:あなたが言いたかった所感(例:血液型分類は迷信だと思う)を伝える
べきなのです。
昨今は血液型による性格分類だけでなく、血液型についての質問そのものについても議論がありますが、今回はコミュニケーションにおけるやりとりの一例として取り上げております。
質問による回答と対話とは?
血液型の例に限らず、聞き手はあなたのことを知ろうとして質問しています。ですので、単に答えればよいというものでもありません。面接を例に取り上げると、
Q:MySQLはできますか?
A:できます。
いやいやいや、会話終わりますやん! 確かに回答していますが、相手が知りたいことではそうではありません。MySQLに関するあなたの経験と、これから何ができそうか知りたいからこの質問を投げているわけですよね? ちなみに、これも実際にあった事例です。IT系の面接では現場のエンジニアやマネージャーが出てくることがしばしばあります。彼らは面接のプロではないので、本来は「MySQLはどれくらいできますか?」や「MySQLの構築からパフォーマンスチューニングの経験は?」など具体的な質問を投げるべきところ、こういう曖昧な質問を投げることは多いにあります(面接官の質については、本稿の趣旨とずれるのでここでは論じません)。
面接官の立場からみて、あなたが過去どのような経験があり=今までやったこと、その結果どういうことを会社で発揮してくれるのか=これからできること、を知りたいのです。
あなたが話すべきフォーマットは下記です。
- 質問に回答する
- 結論=XXXができるので(わかるので)、お役に立てます。
- なぜなら、過去このような経験を積んできました。それを用いることで将来的にもYYYができるようになり、御社で活躍できます。
沈黙を恐れるな!質問に質問で返してよし!
では、相手に”わかる形”で伝えるにはどうすればよいかを掘り下げます。実は重要な部分は既に上述した、質問に回答する前に、相手が何を聞きたいかを考えてから答えるのみです。
多少の間や沈黙があったとしても相手の意図を把握した上で、きちんとした回答をしましょう。スピードを求められる昨今、沈黙や間をよしとしない風潮ではありますが、あなたのコミュニケーションを向上させる決め手はここにあります。
相手が何を聞きたいかわからない時、質問の意図がわからない時はどうすべきか。質問に質問で返してください。意図がわからないものを、クリーンヒットで返すのは不可能です。これもまた「質問に質問で返すな!」と言われておりますが、意図がわからないものは言い換えるなどして「XXXという意味でしょうか?」(=Yes/Noで相手が返せて負担が少ない形)、きちんと確認しましょう。
まとめ
今回は、
- 聞き手にストレスをかけない形の回答とは?
- そもそも相手の質問には期待している回答や知りたいことが含まれている
- それがわかればあなたの回答はシンプルでわかりやすいものになる
- わかりやすい回答こそがベストであり、これこそがあなたのやったことできることが伝わるコミュニケーション
- 「沈黙」「間」「質問に質問で返すこと」を恐れるな!
ということをお伝えしました。
長くなってしまったので、次回はコミュニケーション実践の後半、「聞く=傾聴」編としてお送りします。
(記事:金子 雄太郎)
フルスタック・ジェネラリスト。教育コンサルとして企業向け研修を行い、内容はヒューマンスキルやITスキル向上のカリキュラムなどオールジャンルの講師を実践。コンテンツも自身で作成する。 元々は、IT業界でSEを6年半経験した後、2012年2月独立。編集業や企画も扱う。 ライティング・編集もジャンルにこだわらず。ビジネス、サイエンス、エンタメ、法曹、Webメディアとオールラウンドにこなす。 関わった人々全員を幸せにするのが、密かな野望である。