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とにかくスピード。クオリティを上げるために、スピードが必要なんです。奥屋孝太郎(カラビナテクノロジー)~Forkwellエンジニア成分研究所

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エンジニアとデザイナーでは捉え方が違う

――奥屋さんの、現在の業務内容を教えてください。

奥屋 メインの業務では、クライアントの「アイデアの種」を世に出すお手伝いをしています。われわれは「顧問エンジニア」と言って、以前インタビューされた川上吉村と3人のチームで構成されています。モノを作る前のビジネスアイデアの検討から関わらせていただいていますね。ビジネスサイドにおいても、割とふわっとしたアイデア段階から一緒に考え、システムアプリケーションまで落とし込んでいく作業をしています。

――以前はデザイナーさんでいらっしゃったということで、デザイン力を仕事に活用されておられるんですね?

奥屋 そうですね、UIデザインをこちらでするので。デザインのバックボーンがある人間がいることによって、お客さんに提案できる内容は異なってくると思います。あと一緒に仕事をして思うのが、エンジニアとデザイナーでは物事の捉え方が少し違うんですね。いろいろなものの見方をするメンバーが一緒にいると、相乗効果があるなと思っています。

――具体的にどういうところに違いを感じられますか?

奥屋 例えば、僕は人間の行動からアプリケーションを考えるんですけど、エンジニア目線でいうとその中で起こるデータの形、どういうデータが発生するかという視点で捉えたりします。どちらも非常に重要な視点なのですが、なにしろ3人という少数なので「今は人の行動からみて考えてみようか」「今回はデータを見よう」とか、ミーティングによって視点を変えて話し合っていますね。

――デザイナーの奥屋さんから見て、エンジニアの見方で勉強になった部分はありますか?

奥屋 やはりデータに対する捉え方ですね。僕は結構ふわっと捉えてしまうんですが、彼らは1つ1つ、ロジックにはまっているかどうか頭の中で検証できているんです。だからこそWEBシステムが作れていると思うんですけど。僕は努力しているところではあるんですけど、データに関しては漠然と捉えてしまっている部分があります。

僕の強みの部分でいうと、要件定義を詰める段階で「こういうパターンはどうですか」というもの(モックアップ)をスピーディに、目に見える形で出せることですね。目に見える物を出すスピードが早ければ早いほど繰り返し検証できるので、僕の価値を出せるところかなと思っています。デザインとエンジニアリングどちらも中途半端になるのはいけないと思いつつ、両方やることで双方の視点から物事を見られる。そこは強みになっていくのではと思っています。

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ツテもなく、単身デンマークへ

――デザイナーからエンジニアに転身された経緯はどのあたりにあったんですか?

奥屋 もともと大学を出てWEB広告の営業をしていたんですが、その会社は人が少なかったので、とってきた営業案件をそのまま作ることがありまして。大学のときに外構設計と言って家の庭園・エクステリアと呼ばれる部分のデザインのアルバイトをしていまして、そこでPhotoshop・Illustratorを使えるようになりました。

その強みを営業に活かしていたんですが、もっと自分でもモノを作りたいと思うようになってフリーのグラフィックデザイナーになりました。紙の広告メインでデジタルはほとんどやってないですね。その後、海外で仕事をすることに興味を持ち、デンマークと言う国に行きました。

――すごい転身ですね。何かツテがあったんですか?

奥屋 それが何のツテもなく(笑)、結婚していたのですが奥さんを置いて単身で行きました。奥さんもフリーランスのWEBデザイナーをやっていることもあり、「行きたいなら行っておいでよ」と言ってくれて。

デンマークはデザインの国なので本職一本で行きたかったのですが、僕はデザイナーとして大手企業などで働いた経験もなく、実力を証明するものがなくて。自分のデザインを見せても「箸にも棒にもかからない」みたいな評価を受けて、悔しかった覚えがあります。

グラフィックデザイナーの求人は競争率が激し過ぎたのですが、ITエンジニアやWEBデザイナーはすごく多かったんです。それまでWEBやITに接していなかったのですが、「コードを書くことでもデザインができる」と知り、面白いなと思ってITの会社にデザイナーの仕事を探し始めました。

結果、2015年6月にmojobという会社に「来てもいいよ」という話になったので行かせていただいていました。mojobはスマホのアプリケーションメインでやっている会社で、みんな若くて勢いがあって、「IT業界は面白いな」と思ったんです。でも、そこは結局労働ビザが出なかったんですよ。帰るしかなくなったんですが、そのときはもう「帰国したらIT業界で働きたい」と思って福岡で仕事を探しました。2015年10月のことです。

――近くの大都市圏である福岡を選ばれるのはわかるのですが、関西や関東は選択肢に入りませんでしたか?

奥屋 「福岡のITが熱い」という情報はすでに聞いていまして、とはいえIT業界の知見もないので、まずは家から新幹線で通えるところで探そうと。友人が福岡に住んでいて1週間ほどなら泊まらせてくれるということで、福岡で情報収集してみようと思ったんです。

そこから「スタートアップカフェ」という行政とTSUTAYAさんが一緒にやっているカフェスタイルの事業相談所があって、スタートアップと人材をつなげるサービスもしていたんですね。そこで「デンマークから帰ってきて仕事探してます」と言ったら面白がってくれて、カラビナテクノロジーを紹介してもらったという経緯です。当時、僕は創業3人目の社員だったようです。

――創業期の頃からいらっしゃるんですね。

奥屋 そうですね、僕がマッチングの第1号だったみたいです。未経験で技術を身につけないといけない僕を気に入ってくれた状況で断る理由なんてないので、「やってみよう」という感じで入社をお願いしました。当時の社員2名はphpメインのバックエンドエンジニアで、デザインの能力を持ったフロントエンドエンジニアになりうる人材がいなかったのも大きかったのかなと感じます。

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スピードとクオリティは相反しない

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉がありましたら、教えてください。

奥屋 とにかくスピードを大事にしたいと思っています。「スピードを上げようとするとクオリティは落ちる」と思われがちなんですけど、上げることで納期までに何回もやり直せるんですね。クオリティとスピードは相反するものではないと思っています。それを証明したいから、いかにスピードを上げるかを意識しています。よりクオリティを上げたものを、納期よりもう少し早く納品するために。人が1回出すところを3回も4回も出せれば、それだけフィードバックをもらえてクオリティは上がると思ってます。

――一回の納品がゴールじゃなく、お客さんからフィードバックを受けながら精度を高めていく、PDCAを高速で回していくと。

奥屋 僕がいるチームもその契約形態を取っていて、お客さんに「納品」をしないんですね。ワークスタイルも合っていると思ってます。もともとデザインチームのリーダーをしていたんですけど、お願いをしてこちらのチームに移してもらった経緯があります。僕が目指すところと近いからこそ、任務を移させてもらったんだなと思います。

――「納品がゴール」という考え方は、場面によって必ずしも最適解ではない。いろんなところで感じますね。

奥屋 確かにそうですね。

――ご自身の成長のために日々行なっていることはどういうものがありますか?

奥屋 自分でサービスを作ることにチャレンジしています。まだ出せてはいないんですが、それに向けての準備はいろいろやってます。情報収集はもちろんですが、休日でも仕事と同じように1日中構想を練っていたり。あとは、fukuoka.jsという勉強会を主催しています。技術力が高い人たちとコミュニケーションし、自分の時間でもモノを作ることが重要だと思っています。

――オフであっても、完全に頭の中はオフにしないという感じですか?

奥屋 そうですね。プライベートでも仕事でも、お互いが良い影響を及ぼすようにしています。そういう仕事じゃないとやらない、と決めているので。

――デザインの領域で言ったら、例えばインスピレーションを得るために美術館に行ったりもされますか?

奥屋 していますね、すごく気をつけていろんなものを見てます。「いいな」と思ったものについては、因数分解して「なぜそれがいいと思うのか」を考えるようにしています。デザイン的に良いと思ったのか、使い勝手が良いと思ったのか、いろいろな要素があるので。「なぜ」を紐解いたときに、自分の関わっていることにそれを適応できるのかなと思ってますね。

今はすごく恵まれている環境にいます。

――ここからは、奥屋さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・事業内容 6

自分がやっていることが好きじゃないと嫌なので。僕自身が未熟な人間ですし、いろいろスキルアップして行く上で前向きになれる仕事がいいです。事業内容の優先度は高いですね。

・働き方自由度 2

そんなに重要視していないですね。今の会社がすごく自由ってこともありますが、自分がレベルアップしていけばどんどん自由になって行くと思っているので。1じゃないのは、労働基準法を無視している会社もあるということで(笑)。

・専門性向上 4

プロとしてより価値を出し、結果を出せるように日々努力したいです。デザイン、エンジニアリング領域での専門性も上げていきたいですし、ビジネスとだったり別の軸もどんどん高めていきたいなと思います。

・お金 3

年収数千万円あるわけではないので(笑)。子どもが最近生まれたこともあり、お金は必要だなと思います。お父さんが楽しく仕事をしている姿を、子どもも見ていると思いますし、子どもがやりたいことをできるだけさせてあげたい。「お金が重要ではない」と言えるステージではないですね。

・会社愛 2

会社はすごく重要なところなんですけど、僕自身が向上すれば会社・仲間に価値を提供できたり、良い影響を与えられる。そういう意味で、僕にとって会社がすごく良いものである必要ではないと思って2にしていますね。

もちろん、カラビナテクノロジーという会社はすごく面白くて愛着もあります。現状を維持するのではなく、どんどん考えて変容させていこうとする姿勢があって、将来の会社のあるべき姿を議論することが結構あるんですね。それを継続して行なっている環境はすごく面白いと思います。

・仲間 3

3ですが、要するに「会社を選ぶとき、仲間がすごく良くないと嫌だと思っているわけではない」ということですね。僕は僕、人は人なので変にこだわりがあるわけじゃなく。ただ、今はすごく恵まれている環境にいます。チームメンバーと日々面白い仕事をしていますし。fukuoka.jsというコミュニティもでき、福岡のエンジニアやデザイナーの人たちと知り合うこともできました。カラビナの人たちもすごく良い人がたくさんいるので、恵まれています。

――転職者の方に向けてメッセージをお願いします。

奥屋 仕事とプライベートを混ぜたとしても、良いと思える仕事をした方が良いと思います。デザインが好きなら一日中デザインしててもOK、と思うんだったらデザインの仕事をしても楽しいと思います。一日中は無理でも、自分の好きなことが良いと思います。「趣味を仕事にするのは厳しい」と言われますけど、個人的には仕事が趣味と同じぐらい好きなもののほうが日々楽しいだろうなと思います。

<了>

ライター:澤山大輔


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