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すごい人は「勉強」していないんです。「遊んでいる」のです。宮末啓吾(ベガコーポレーション)~Forkwellエンジニア成分研究所

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「福岡でエンジニアに」という機運を感じます。

――現在の業務内容を教えてください。

宮末啓吾(以下、宮末) 弊社ベガコーポレーションは、家具のEC事業を行なっています。家具通販サイト「LOWYA(ロウヤ)」と、つい先日リリースされた「Laig(ライグ)」というサービスを運営していまして、LOWYAでは自社家具の販売、Laigでは他メーカーの家具をモールのような形で販売しています。

私自身は、R&D部門の責任者です。学術的な研究だったり先進的な技術をどうやったらビジネスに生かしていけるかを研究する仕事をしております。

――具体的にはどんなことをやられているんですか?

宮末 今で言うと、AR・VRや機械学習ですね。それらの技術を、どうビジネスに応用できるかを研究しています。ECで家具を買うことにはまだまだ心理的なハードルがあると思います。これまでのECサイトでは解決できなかった部分を、テクノロジーを使って解決しようということす。

――宮末さんは、平行して「エンジニアフレンドシティ・福岡」のアドバイザーもなさっておられますね。

宮末 福岡市さんが「エンジニアに優しいまちづくりをしていきたい」ということなので、どういう部分を整備するかヒアリングをお受けしたり、いろいろなことをお話しています。

例えば先日福岡市で大々的なイベントがあったんですが、平日の昼間に開催してもなかなか参加できないですよね。日程面一つとっても、なるべく福岡在住のみなさんが参加しやすいようにしたり、他県からエンジニアが移住したいと思う魅力的な街にするにはどうするか、アドバイザーとして参加させていただいています。

福岡市は市街地から空港まで近いですし、家賃も東京に比べると割安です。移住する方は増えてきています。市としては、もっといろいろな人に来ていただいて魅力的な街にしていきたい思いがあるようですね。

――宮末さんご自身は、福岡在住で何年目ぐらいですか?

宮末 元々は福岡の筑豊地方出身なのですが、父の都合で転勤族でして。様々な地域に転居していましたが、大学入学のタイミングで福岡に戻り、それからずっと福岡に在住しています。大学以後で福岡から離れたのは、以前の会社で東京に3ヶ月間ほど長期出張していたときぐらいですね。

――福岡市がエンジニア誘致にチカラを入れ始めてからそれほどの時間は経過していないと思いますが、宮末さん自身で何か変化は感じますか?

宮末 感じますね。先日、弊社で他社の方やフリーの方を招いたイベントをやっているのですが、大分や佐賀に住んでいた異業種の方で、「エンジニアになるために福岡へ来た」という方々が結構いらっしゃっいました。それほど期間が空いていないので正確なところはわかりませんが、効果は出始めているのではと思います。

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新しいことをやろうとしたら、英語は必須です。

――2009年に近畿大学を卒業され、同年4月から(株)アイフリークモバイル、2013年4月から(株)アイキューブドシステムズさん、そして2015年からベガコーポレーションさんに在籍中とのこと。どういうことをやられていたか伺えればと思います。

宮末 最初に福岡にある株式会社アイフリーク(現在はアイフリークモバイル)に新卒で入した際のことですが、話をするのも懐かしいと思うんですが(笑)、当時は「デコメ」というものが流行っていました。。。デコメの配信サービスや当時docomoさんが出していた着せ替えツールなど、コンテンツを配信システムを作っていました。

その後iPhone4が出た時ぐらいに会社から3カ月の東京出張を命じられ「iPhoneアプリの作り方を学んで来い」ということでした。そこからは、iOS向けアプリも作り始めました。ゲームを作ったり、ツールを作ってAppStoreに上げたりという業務内容ですね。

――「東京に転勤してほしい」と言われて断り、そのままお辞めになられたとか。

宮末 そうですね。ある日、「開発部署を東京に移そうと思う」って言われたんです。それで「そうですか、ありがとうございました」という感じで。

――そこまで東京転勤がイヤだったんですね(苦笑)。

宮末 やっぱり、福岡に住んでいたかったので。会社としては命令ではなく打診レベルだったとは思うんですが、東京に住むのはちょっと難しいなと思って断りました。業務としてもやることはすべてやった感があり、ちょうど良いタイミングだったかなと。

別のタイミングですが、アイキューブドシステムズさんは通常のアプリでは触れないレイヤーまで触っているという話を聞いてもいて「技術的に、より深いところに入れる」と気になっていました。東京の話を断って転職エージェントに行き、求人票を見せてもらった際にアイキューブドシステムズさんがあったので入社試験を受けた形ですね。

――アイキューブドシステムズさんでは、どのようなことをやられていたんですか?

宮末 MDM(モバイルデバイスマネジメントシステム)です。例えば会社が営業の方に端末を渡すとき「携帯で変なところに電話していないか」「指定以外のアプリをインストールしていないか」などをチェックしたり、紛失したときに遠隔でロックをかけたり停止させたりというシステム開発をやっていました。

――それまでとはだいぶ違う職種に移られたんですね。

宮末 そうですね。モバイルという共通点しかないですね。MDMの方にも興味はありまして、キャリアを積んで様々なことができるようになりたいと思っていました。

――MDMの開発要件は、他の開発に比べて厳しいものですか?

宮末 職務内容より、言語面での難しさがありました。iOSの仕様はAppleから提供されているので、言ってしまえば「読めばわかる」感じではあるんです。でも、なかなか日本語の仕様書がないので。どうしても業務が英語ベースになりますね。

基本的に、ドキュメントが日本語に訳されるのは1年ぐらい遅れるんですよ。そうなると、英語のドキュメントを読むのは必須になります。(結構、英語が上達されたんじゃないですか?)まあ、多少は読めるようにはなりました。全文を正確に読めなくても、ある程度調べれば内容は理解できます。でも新しいことをやろうとしたら、今でも英語は必須ですね。切っても切れないものだと思います。

前職はiOSのエンジニアで、アイキューブドシステムズさんではサーバーサイドを担当しました。iOSの知識を持ちつつサーバーサイドで働ける、というのは大きなメリットだったなと思います。

――そして、2015年12月にベガコーポレーションさんに入社されました。

宮末 「越境ECのiOSアプリを作ってほしい」という話で入社したんですが、当時は環境が整っていなくてすぐには着手できなかったんですね。なのでサーバーサイドを見直したり、困りごとを解決していく業務を担当していました。その後は情報システム部に異動し、研究開発をやってほしいというオーダーがあったのでそこからAR・VRやAIを手がけている感じですね。

――伺っていると、その当時・当時で最先端の技術に触れられている印象を受けました。

宮末 一応そういう働き方はさせていただいてますね。

――福岡の方で、これだけ最先端の技術に触れ続けている方はそう多くないのでは?

宮末 割合でいうと、少ないほうではあるかなと思います。ラッキーだと思いますね。元々作ることが好きだったので、プログラムは中学校1年生ぐらいからやり始めたんです。アイフリークさんにも面接だけで入った経緯があったり、割と技術でどうにかなってきた人生ですね。

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モットーは「とりあえず触ってみる」

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉ってありますか?

宮末 「とりあえず触ってみる」ですかね。触って確かめて、採用するかしないかはそこで考える。それをモットーにしています。新しい技術はどんどん出てくるので、とりあえず触っておく。すぐに業務には使えなくても、いずれ「あ、これはあの技術が使えるな」という時が来たら引っ張り出してくる。そういうことをよくしていますね。

例えばアマゾンウェブサービス(AWS)って、いろいろな新機能がバンバン出てくるんです。その都度、僕は可能な限り全部触るようにしています。最初に出てきた時はそんなにすごい技術じゃなくても、後からアップデートされて「これ業務でめっちゃ使えるじゃん」となったりすることはよくあります。

――そういう新しい情報は、どうやってキャッチアップされておられるんですか?

宮末 AWSからリリース情報も来るのですが、Twitter経由が多いですね。新技術に強い人をフォローしたり、AWS自体がTwitterで最新情報を更新しているので。あとは、海外の方のツイートも見るようにしています。

――インターネットって「知の高速道路」と言われますけど、伺っていると宮末さんはその高速道路を乗りこなしている印象です。

宮末 そうですね、情報を得られる人はどんどん先に走って行ってさらに加速しますが、得られない人は得られないまま速度が上がらないですからね。

――「高速道路に乗っている」方は、周りには多いですか?

宮末 そうですね、福岡市はここ1、2年で技術者コミュニティが大きく発展してきているイメージがありますが、そういう方々は完全に「乗り方」がわかっていますね。例えば東京から九州に来るとしたら、「高速道路ってどこに通ってるんだっけ」って調べますよね。その調べ方がわかってる人は強いですね。そういう方は、技術者コミュニティにはかなりいると思います。

――一方で、マネージャーとして意識されていることはありますか?

宮末 一応責任者ということでマネジメントしている体にはなっているんですけど、自分自身としては技術者寄りですね。

私自身、面接にも入っているので、採用する際は自走できる人しか取ってないです(苦笑)。目指したのは、「攻殻機動隊」の公安9課のイメージですね。もちろんチームワークはあるんですけど、まずは強い個があればいろいろなことは自ずとうまくいくんじゃないかというスタイルでやってます。

――一騎当千の強者を取るってことですよね? なかなか採用は大変だったのでは。

宮末 大変でした。僕が入社して2年半くらい経ちましたが、、入社当時の弊社は福岡のエンジニアの中でも知名度は低く、私も知りませんでした。でもLOWYAというサービス自体は結構知っていて、僕も元々ユーザーでした。知名度が低いと、良さそうな人に声をかけても「うーん」と言われて断られることが多かったですね。

なので、いろいろな技術イベントに顔を出して技術の話をたくさんして、まずは福岡市内で顔を売るようにしました。結果、知名度が徐々に上がっていき、エンジニアからの応募も増加しました。。今チームにいるうちの何人かは、技術イベントに来てくれた人たちです。 

――エンジニアの方は今や1人につき平均7社の内定をもっているという話ですが、それはイベントの求心力が相当高かったということですね?

宮末 そうですね、エンジニアの求人倍率はまさにそれぐらいですよね。多分、イベントを打つタイミングも良かったのかなと。加えて、会社が費用面でもバックアップしてくれ、イベント開催する際も予算をつけてくれたことも大きいです。

――会社の上層部がエンジニアのツボと言いますか、現在求められているものを理解していないと採用は難しそうですね。

宮末 そうですね、それはあると思います。今は社内にイベントスペースができていて、筋トレマシーンなどエンジニアが喜ぶものが結構入ってますよ。

――自身の成長のために日々行なっていることってどういうことがありますか?

宮末 先ほども言いましたが「とりあえず触ってみる」は継続しています。情報技術ってすごい勢いで進化していくので、とにかく目についたものをガンガン触ることですね。

――とりあえず触ってみるというのは技術に限った話ですか?

宮末 そんなにコストがかからないものに関しては、ジャンル問わず触ってますね。例えば最近不動産セールスの電話がよくかかってくるんですけど、「節税の計算します」って言われて「あ、じゃあコストかからないしやってもらおう」みたいな(笑)。知らないことに対しては、低コストでできるなら積極的にやるべきかなとは思います。

「勉強」は「遊び」には勝てない

――ここからは、宮末さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・専門性向上 5

限りなく高いですね。情報技術はすごい勢いで進んでいるので、(専門性向上を)やっていないとすぐ取り残されるんですよね。あとは、純粋にモノを作るのが好きなので。「面白そうだな」と思ったら触ってみる、というのがこれに当たるのかなと思います。

――伺っていて、エンジニアリングが好きじゃないとトップレベルで居続けるのも大変だなと思いました。

「未経験者でもエンジニアになれますか」ってよく聞かれるんですけど、興味ないならおすすめしていないですね。すごい人って、もはや「勉強」していないんですよ。勉強しているのではなく、遊んでいるだけ。「勉強」と捉えている人は、オススメしないですね。10時間勉強した人と10時間遊んだ人なら、遊んだ人の方がはるかに強いので。

基本的に、技術に対して好奇心と行動力が備わってないとエンジニアはオススメできないですね。興味ある人に関してはとても優しいけど、ない人に対してはとても厳しい。そういう世界だと思います。

・仲間 4

福岡のコミュニティって、特に若い層のレベルが高いですね。20代の福岡のエンジニアのコミュニティ層はすごいレベルが高くて、いろいろ吸収させてもらっているので4にしています。

・お金 3

新しいハードウェアを買うときは、そこそこ値段が張るんですよね。だからある程度欲しいかなという感じですね。(生活水準を上げるというよりは技術のためにお金を使うと)そうそう、好奇心を埋めるためのお金という感じですね。

・事業内容 3

関わらせていただく仕事に関しては、その人が「本気でやりたい」と思っているビジネスに限らせていただいてます。僕はフリーランスでも仕事をしていまして、「絶対実現したい」というものならお手伝いする形を取らせていただいています。

・働き方自由度 4

福岡にいたいのは、自由だからということもあります。もともとベガコーポレーションは、フレックス制ではなかったんですよ。08:45出勤だったんですが、そもそもエンジニアってそんな早い時間に出てこないと思っていて。「これ変えないと、エンジニアは来ないですよ」という話を代表にして、フレックス制にしてもらいました。このあたり、会社は非常に理解があるので。ただ、まだこの制度はエンジニアの部署だけなので、できれば全社的にやっていきたいですね。

――代表はエンジニアの方なんですか?

ではないんですよ。ただ、すごく勉強熱心。そこらへんのエンジニアより技術に詳しいんじゃないでしょうか。それぐらい、いろいろなところに出向いて勉強される方なので、「なんでそんなところまでご存知なのか」ということが割とあって驚きます。エンジニアではないんですが、もともとECで起業されている方なのでインターネットやWEBサービスにはすごく時間を割いているんでしょうね。

・会社愛 1

――でも、そんな素晴らしい会社への愛は1だという(笑)。

いやいや(笑)ウチの会社は好きですよ! ただ、組織に縛られたくないということですね。僕は割と、「嫌だな」と思ったら転職するタイプなんですけど、今のところ転職する気は全然ないです。自分としては珍しい状態ですよ。この「1」という数字も、合計20点という上限がなかったらもっと高くてよかったんです。他のところが引っ張られた結果の1であって、ベガコーポレーションはすごく良い会社だと思っています。

いったん、気軽に転職してみたら?

――最後に、転職を希望される方々にメッセージをいただけますでしょうか。

いったん、気軽に転職してみたらどうでしょうか。というのは、他の会社と比較しないと自分の状態はわからないと思うんですよね。新卒で入って5年経過しています、みたいな状態だと、それが良いのかどうかはわからない。3年ぐらいで一度外に出てもいいのではとは思います。

いろいろな会社を見るメリットってすごく多くて、今までの会社で「普通」と思われていたことに実は別のやり方があるとか、逆に「これなら前の会社のこれが役に立つんじゃないか」とか。そういう相乗効果ってあると思うんですよ。

――会社の中の事情って、ずいぶんオープンになったとはいえまだまだクローズド。応募者とのあいだで、非対称性は大きいですよね。

そう、なので気軽に転職しても良いんじゃないかなと。会社に怒られるかもしれないですけど(笑)、いろいろな世界を見てみてください。

<了>

ライター:澤山大輔


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