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「地方のデータ分析需要を、掘り起こしたい」大城信晃(NOB DATA)~Forkwellエンジニア成分研究所

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地方需要の顕在化は、誰も手を付けられていない

――まずは、現在の業務内容について伺えればと思います。

大城 前職時代から、基本的にデータサイエンティストをやっています。サービス改善のためにデータを使って提案をする業務ですね。

前職LINE Fukuokaでは動画サービスの改善、ニュースの分析、あとはサービスの成長のためのグロースハック、オペレーションコスト削減のための分析などをやっていました。福岡に審査部隊がいるのですが、彼らの業務効率を上げるために、どこに改善点があるかを探して、「ここをいじると3割ぐらい生産性が上がります」と提示、実際に回して効果が出たら拡大してみよう、といった感じで展開します。いわば、データを使ったコンサルティングですね。

――「生産性3割」というように、数字で提示できるものなのですね。

大城 何にどれぐらい時間がかかっているかを分析し、一番時間のかかっている部分から攻めていきます。そして自動化やオペレーションの見直しによって効率化できるところを改善していく、というアプローチの仕方です。ある程度定量的に見つつ優先度をつけていきます。改善効果を計る際に、エンジニアリングっぽいところが出てきますね。

――まだ独立されて間もないということですが、現在の会社ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

大城 案件としては関東方面の医療系ベンチャー様で、データマーケティングをしたいが分析者がいないというところに、リモートで開発のお手伝いをする感じです。東京だとすごく引き合いがあるんですが、福岡だと東京と5年ほどギャップがあるからなのかうまく案件をつかめていなくて。

東京の分析系ベンチャーにいた際は、営業代行さんの力を借りて案件を取っていました。福岡だと、営業代行さんが案件をそもそも掴みきれていなくて。恐らく、まだ需要が顕在化していない状態かなと。福岡では、セミナーやコミュニティを立ち上げて、市場自体を1年ぐらいかけて作っていきたいと考えています。

――見方を変えると、着手するにはすごく良いタイミングだとも言えますね。

大城 チャンスではあります。地方需要の顕在化というのは、誰も手を付けられていない部分なので。地方でもリモートを使って成立するなら、他の土地でも展開できると思いますし、先行投資する狙いをもって動いています。

勉強会も、東京だと日に30回、土日だと50回ぐらい開催されていて加熱化しているのですが、福岡だと2週間で30回くらいです。福岡で1回勉強会をやってしまえば、東京の14倍のインパクトがあるともいえるわけです。そういう意味では、狙い目なのかなと思います。

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大事なのは、お客さんの顔をイメージすること

――改めて、現職までのご経歴について伺えますでしょうか。

大城 2009年にヤフーに入社して、3~4年ほどサービスのエンジニアをしていました。そこから広告の部署に移動し本業として始めたのが、本格的にデータ分析を始めたきっかけです。2013年からですね。

2010年からTokyo.RというR言語のコミュニティの立ち上げに関わり、マーケティング部の部長がそれを見つけ、当時のヤフーのデータ分析部署であるデータソリューション本部(現D&Sの前身)に誘ってくださいました。なので、勉強会レベルでは2010年、本業になったのが2013年ですね。データサイエンスというワードが出始めたのが2012年頃だったかと思うんですが、その2年前ぐらいから動いていました。

――ヤフーさんはどんなデータを扱われているのですか?

大城 ヤフーでは、広告の営業資料が公開されています。サービスにあるデータが基本としてあって、一番は検索ログ。あとはショッピング系でいうと購買系のデータですね。そして広告のログです。いわゆるターゲティング広告の文脈で語られますが、性別年齢に合った広告の方が、ランダムにばらまくより3~4倍は効率が良くなるというデータがあります。

そこはヤフーの強みで、会員さんのデータを匿名化し、例えば主婦層にうけるようにといった形でターゲットごとに広告を当てていくことができます。そのあたりのデータが主軸で、あとはCCCさんと連携してTポイントとヤフージャパンIDの連係でデータを使ったり。こうしたデータが大量にあるのですが、実際に有用なやり方で扱える人は少ないです。

――データサイエンスの取り入れにより、変わった部分や発見などはありましたか?

大城 意外な発見は10本打って1,2割程度で、残りは地味な発見になるのですが。ショッピングでいうと、そもそも購買者のデータがそろっていないと属性を考えた上での商品が作れません。また、業務外での使い方にはなりますが、選挙の予測やインフルエンザの流行状況を出せるようになったのは、今まで見えなかった部分の可視化ということで、変化なのかなと思います

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉はありますか?

大城 お客さんの顔をイメージすることを大事にしています。ヤフーもLINEも通信向けなんですが、分析しているとデータが無味乾燥な数値に見えてくるんですね。でも行動ログとかを紐解いていくと、生身の人がいて、ライフスタイルがある。例えば「なんでこの数字伸びないんだ」と思っても、学生は学校に行っているときはパソコンもスマホも触れないとか、サラリーマンは通勤時間はスマホ触るけど業務中はパソコン開いていてだとか。

一日の時間が限られている中で、サービスの使い方のイメージがないと、無理な提案に繋がってしまいます。そうならないようペルソナを想定するのですが、実際にそういう動きをしている人がいることを意識して、机上の空論にならないよう気を付けていますね。

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地方で活躍するプレイヤーを育成したい

――ヤフーさんからDATUM STUDIOさんに移られたきっかけは何だったのですか?

大城 DATUM STUDIOの副社長が大学の同期で、ベンチャーを立ち上げたということだったのでお手伝いにいこうかなと。「誰かを手伝いに行く」というモチベーションで会社を移ることが多いんです。

――その後東京から福岡に移りLINE Fukuokaさんに入られ、2018年10月から独立されたとのことですが、独立を選んだ理由は何だったのでしょうか?

大城 ひとつは、年々東京と福岡のデータ分析の技術的なギャップが開いていっているという感触があって。東京はすごく人が集まっていて、福岡では集まりづらい状況があるんですね。そのため福岡では海外から人をバンバン入れている企業も出てきてて、例えばLINE Fukuokaだと半分以上のエンジニアは海外の人材です。分析チームも同じ。海外人材の活用は一つの解ではあるのですが、いずれにせよ主な役割として東京や世界相手の仕事をするわけで、福岡の地場には分析者が降りてこない。このギャップがますます開くと、分析者としてはそのうち東京に戻らないといけないんじゃないかと考えているくらいです。なので、LINE Fukuokaのように海外人材を入れるのでもいいんですが、なにか違うツテができないかということを考えています。

また、僕もそうだったんですが、東京で分析者をやっていてU/Iターンをしたいとなっても、地方に帰ってくると分析のノウハウを生かせる職がないために別の仕事につかざるを得ない。仕方なく東京にいる、という問題があります。でも今後2025年問題とか、いろいろな地方でそうした問題が出てくるので、そこで活躍できるプレイヤーが必要になります。そうしたプレイヤーを育成する場を整えておきたいと思っていますね。

――ご自身の成長のために日々行なっていることはありますか?

大城 先ほどの勉強会の主催をやりつつ、他の勉強会にも参加するということは意識しています。正直なところ、仕事の方で忙殺されつつあるのですが。

――最近、面白いコミュニティはありましたか?

大城 僕はRユーザーでTokyo.Rの立ち上げなど長らくR系のコミュニティにいたんですけど、最近はお隣のPythonを使ったデータ分析は注目しています。画像解析のためのディープラーニングなども最近流行ってますからね。ちょうどこのあとPythonデータ系コミュニティの福岡での立ち上げイベントをやるところで、今20人ぐらい参加者が来ているんです。ただPyDataのコミュニティとか、東京・沖縄・大阪・北海道にあって福岡にないのはおかしいですし、そういう各地とのギャップを埋めていきたいと思っています。(※インタビュー後、PyData.Fukuoka発足会が実施され、現在70名程メンバーが集まっているとのことです)

「弱いつながり」を大事にしたい

――ここからは、大城さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・お金 4

分析のフィーって安くないので。結果を出して最終的にお金をもらえるという部分を大事にしたいですね。経営者としてはここを見ていかないといけないと思っています。

・専門性向上 4

当然ここが売りなので、重要だと思っています。

・仲間 4

僕がメインというより、困っている人を助けに行きたいという方が気持ちとして強いです。R言語のコミュニティ出身ということもあって、会社は違うけどコミュニティは共有しているというような、「弱いつながり」を大事にしたいと思っています。

・事業内容 3
・会社愛 2

会社愛というのは、このご時世よくわからないなと。どちらかというと業務内容の方が大事ですね。主従関係的な雇用は、もう今の時代は違うのかなと思うので。

・働き方自由度 3

自由な職場が多かったんですが、研究所みたいなところではスマホ持ち込み禁止とかがあって。もちろん意図はわかるんですけど、もう少し自分のペースで仕事をしたいです。ほどほどには自由が欲しいと思います。

――キャリアに悩んでいる、転職を考えているエンジニアへのメッセージをいただけますか。

大城 自分の憧れている業界の人に話を聞きに行ってみるのが良いと思います。あと、何かしら勉強会に行って、可能であればLTとかに行って話してみたりしたら、思わぬ道が開けたりするので、是非気軽に参加してみてほしいと思います。

<了>

ライター:澤山大輔


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