Forkwell Press

エンジニアの生き様をウォッチするメディア

「Microsoft MVP受賞、Unity アンバサダー任命による一番大きな変化は、奥さんからの評価です(笑)」森哲哉(株式会社キッズスター)~Forkwellエンジニア成分研究所

f:id:paxigirl:20190110172609j:plain

某職業体験テーマパークのアプリ版のようなものと思ってください

ーーまずは、現職のキッズスターさんの事業内容について伺えればと思います。

森 主に、子ども向けのIT事業を展開しています。今は「ごっこランド」という職業体験スマートフォンアプリの開発がメインです。

いわば、某職業体験テーマパークのアプリ版のようなものだと思っていただければ。企業様からスポンサードいただいてパビリオンという形でアプリ内に出店し、各企業さんの職業体験をユーザーのお子さんにしてもらう内容です。

今は保守フェーズに入っていますが、デジタルアトラクション事業もやっています。モーションセンサーを使って体の動きを感知する、インタラクティブなゲームのようなものですね。

私自身は主に「ごっこランド」の開発にコミットしているのですが、メインの実装よりは開発に携わるエンジニアを手助けするために、インフラ含めた裏方の作業をやっている感じですね。

ーー社員の方は何人くらいですか?

森 エンジニアリングのセクションでは私含めて3名です。ゲーム・パビリオンごとに業務委託をさせていただいているパートナーさんが6名います。その方々も、情報の共有具合などは社員に近いレベルですね。

ーーバックグラウンドはゲーム業界という方が多いんですか?

森 どちらかというとWeb系出身の方が多いですね。私自身もそうですが、古くからいるメンバーはWeb系が多くて、そのツテからリファラル採用しています。Web系でも、すんなりアプリ開発に入ってこれるような仕組みは整えています。

ーー「マンガでわかるUnity」作成の経緯についても伺えたらと思います。

森 一番大きい理由は、純粋に「やってみたかった」ですけども(笑)。新しくUnityを学ぶ人に、漫画を通じて概念を伝えたいと思いまして。初めてUnityを触るとき、普通の技術書で勉強すると概念的なところが理解しづらいんじゃないかと思って。もともと「マンガでわかる」シリーズを描かれている湊川あいさんとは親交があったので、「次のテーマ何にしましょうかねえ」とお話しさせていただいている中で決まりました。

ーー森さんご自身がUnityに触り始めたのはいつ頃ですか?

森 確か2013年くらいですかね。そもそも、ネイティブアプリをそんなに書いたことがなかったんです。「Objective-CやJavaで書かなきゃいけないのは面倒くさいな」と思っていた頃にUnityを知って、便利そうだなと思いました。実際に触ってみて、ゲーム開発環境として良い方向に行けそうだなと。

ーーそれ以降のゲーム開発は全てUnityで?

森 いっとき、どうしてもスマホのブラウザ向けに出さないといけないゲームがあって、当時のUnityだとサポートしていなかった関係でCocos2d-JSを用いたことはありましたが、今は完全にUnityです。

ーー漫画を拝読して、Unityには「ゲーム開発に必要なものがすべて入っている」という印象を受けました。

森 ゲーム素材を組み合わせる部分については、なんでもできますね。開発者側としても柔軟性が高い部分があります。エディター自体をエンジニアが拡張できるので。開発やデザイナーさんとの連携のところでちょっと工夫すれば、生産性を上げるようにエンジニアが仕込むことができる。ベンダーツールだけどしっかりカスタマイズできるよう、うまい具合に解放してくれています。個人的にはそこが嬉しいポイントですね。

f:id:paxigirl:20190110172659j:plain

「パパが作ったんだよ」って言えるものを作り続けたい

ーー森さんは「人に何かを教える」をテーマにされているとのことですが、それはいつ頃からなのですか?

森 高校生の頃からですね。数学が得意だったので、得意な友達同士で先生が出すちょっと難しい問題を解きあって、解けた方から説明するということをやったり。苦手な女の子にええかっこして教えてあげたり(笑)、教えた相手が「ああなるほど」ってなる瞬間が好きでした。

ーー最初に入られた会社でも、「人に教える」はテーマだったのでしょうか?

森 最初に入った会社はそうでもないですね。大学で単位を落としまくって、2年くらいで中退してある会社に入ったのですが、SIerというかSES会社だったので。教育という観点では、やりたいこととはマッチしなかったんです。

ーーなるほど。そもそも、どのような経緯でキッズスターさんのチームに入られたのですか?

森 教育については、前職からやりたい思いがあったんです。そうしたら2011年12月ごろに、ヘッドハンターから会社に電話がかかってきて。ええ、直接(笑)。それから渋谷の居酒屋で4時間くらい弊社代表の平田と話して「面白いな」と思って。エンジニアがいないと聞いたので「いろいろ自由にやれそうだな」、ということでジョインさせてもらいました。

ーー最初は、どんなお仕事から始まったのですか?

森 すでにローンチしていた絵本の読み聞かせアプリからですね。ネットショップのストア画面がイケてなかったので改修したり、インフラを1台のサーバーで賄っている危険な状態だったので整えたり、基幹システムの整備を1年くらいやりました。

その後、同じく本の読み聞かせアプリなんですけど、サブスクリプションのアプリを作ろうということで、その辺からネイティブを触り始めました。

ーー今までのお仕事で一番印象に残っていることはありますか?

森 デジタルアトラクションを、ショッピングモールのイベントスペースで実際に出展することがあって。お子さんがたくさん並んでくれて、楽しそうにプレイしてくれたんです。「もう一回やる!!」みたいな光景を見て、ゾクゾクしましたね。ユーザーに触れ合えるのは楽しいな、という記憶が鮮明に残っています。

ーー確かに、アプリ開発で直接エンドユーザーと交流できる機会はそんなにないですよね。

森 そういう機会を持てたのはすごく嬉しいなと。

ーープライベートでは2015年にお子さんが生まれたということですが、考え方に変化は生まれましたか?

森 ありましたね。「これ、パパが作ったんだよ」って言えるようなものを作り続けたいと思うようになりました。正直なところ、生まれるまでは子ども向けの事業をやっていながら、100パーセントを注ぎ込めてるかというとそうじゃなかったのかもしれません。生まれてからは、完全に100パーセントでやれています。

ーーサービスがリリースされたら、いずれ娘さんにもプレイしてもらいたいですね。

森 そうですね。弊社には社員の子どもを対象に、リリース前のアプリをテストプレイしてもらう場があるんです。うちの娘が、そろそろ対象年齢に届きそうなんですね。

僕は最近メイン事業の開発に関わっていないので追いきれないこともあって、家族が自分よりも先にリリースされたパビリオンを知っていたりします(笑)。今年に入ってからは月1,2本くらいのハイペースでリリースしているんですけど、娘も「パパが作ったもの」って理解するようになってきました。

ーー娘さんの反応が良かったのは何でしたか?

森 特定のこれっていうのはあまりないんですが、やっぱりシンプルなものが面白かったのかな。スシローさんのパビリオンは魚に馴染みがあったのか、よくプレイしていましたね。でも、分け隔てなくやっていると思います。

f:id:paxigirl:20190110172731j:plain

「5分調べてわからなかったら、聞く」

ーー業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉はありますか?

森 「5分調べて分からなかったら誰かに聞く」、これは駆け出しの時に意識していました。教えるときにも、極力そのように伝えるようにしてます。悩みすぎてもドツボにはまるだけなので。カジュアルに聞いてもらえるようにする、というのは意識しています。

ーー仕事において「悩む」のは、結局は時間の無駄になってしまいますよね。

森 もちろん必要な過程ではあるんですけども、わからないときに聞いてもらうための障壁を下げることは意識しています。

あとは山本五十六メソッドというか、「やってみせ、言ってきかせて、させてみて、 誉めてやらねば人は動かじ」という教えは、思想のコアになっています。特に、最後の「褒めてやらねば」は大事だと思っていて。オープンソース界隈の文化にある、「ちゃんと相手を敬って褒める」という部分がないと、お互いの信頼関係を築けないと思います。

ーーそういう面では、お子さんから教わるところもあるのでは。

森 そうですね。言い方を気をつける、というのは教えられる部分があります。「片付けて」じゃなくて「元の場所に戻して」とか、「走らないで」じゃなくて「ゆっくり歩いて」とか。そういう言葉の言い換え、みたいな部分も娘に訓練してもらっていますね。

ーーご自身の成長のために日々行なっていることはありますか?

森 時期によってバランスはあるんですが、アウトプットをするように心がけています。LTから数十分話すものまで講演する機会も増えてきているので、アウトプットするためにインプットする、というサイクルが生まれています。そこは継続してやっていきたいですね。

ーーアウトプットが先にあると、頑張れますよね。

森 今日締め切りのアドベントカレンダーがあったんですけど、結構ギリギリまで書いてて(笑)。誰かに伝えるための資料を作っていると、明らかにスキルアップになっているなというのは実感できます。アウトプットは続けていこうと思います。

ーー優秀な方は、アウトプットの重要性を強調されている印象があります。

森 やっぱり自分がアウトプットしたものを読んだり聞いたりする相手の気持ちになることで、普段以上に調べることが増えるので勉強になりますし、言語化することで自分の中に定着しやすくなると思っています。アウトプットに関連していうと、2018年11月頭に「Microsoft MVP for Developer Technologies」を受賞させていただき、2018年12月中旬に「Unity アンバサダー」に任命いただいたことが大きいですね。特に Microsoft MVP は更新制なので、更新するためにはアウトプットし続けないといけません。半強制的に、アウトプットへの流れを作れました(笑)。

ーー受賞・任命による変化はありましたか?

森 一番大きいのは、奥さんからの評価です(笑)。奥さんもテストや設計のエンジニアで、もちろん仕事に対しては理解があるんですが、講演や勉強会で喋るとなると「え、またなの?」みたいな反応だったんです。

でも今回受賞できたことで、直接的なお金につながるわけじゃないけど今後の活動につながるものができて。「うちの旦那、意外と頑張ってるのね」というふうに評価が変わりました。家庭をもつとそういう活動がやりづらくなる人もいるので、理解が得られて良かったです。

どういう形でもいいので、人に会いましょう

――ここからは、森さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

f:id:paxigirl:20190110172756p:plain

・専門性向上 5

今は自分自身も周りのスキルもUnityに絞ってメインでやっているんですが、ここはずっと磨き続けないとダメだなと思います。教える側ばかりになると現場感が失われるので、現場に立つことも続けていかないとなと思います。

・仲間 5

一緒に働く仲間を信頼、尊敬できないとそもそも組織に属する意味がないと思います。お互いに、尊敬したいし信頼されたいです。

・お金 3

家庭もあるので。お金は全てを癒すので、あるに越したことはないかなと。

・事業内容 1

高くできればしたいところなんですが、他の項目に比べると今のところそんなに重視していないです。属する組織が重視している事業内容に僕自身がアジャストしていく、これはこのまま変わらないかなと思っています。ある種、専門性向上とリンクするといえばするので。「この事業だからやりたい」というのは今のところないですね。

・働き方自由度 5

弊社はリモートワークを全面的に採用しています。昔は僕自身はどっちでもいいやという感じだったんですが、やってみるとリモートじゃないと困るという感じになってきて。あと、働き方自由度になるのかわからないですが、「このサービス使いたい!」となったときにすっとお金を出せる状態なのかというのも自由度の一環だと思うので、そういう意味でも重視しています。

・会社愛 1

ここも事業内容と同じで、会社という形に無理にこだわらなくていいかなと。会社に縛られずちょっとずつ仕事をやっていけたらという。特にエンジニアはそうだと思います。

ーー最後に、キャリアに迷うエンジニアに向けてメッセージをお願いします。

森 「人と会いましょう」ですかね。どういう形でもいいので。僕は今ツイッターメインで活動しているんですが、最近はツイッターを利用した転職も増えていると思います。SNSでもリアルの友達でも、コミュニティを増やしていくことが、キャリアの上昇につながっていくかなと。私の観測範囲内で結構そういう方が増えてきてると思います。意外と、飛び込んでみたらなんとかなるものですよ。

<了>

ライター:澤山大輔


Forkwell Portfolioは、エンジニア向けのポートフォリオサービスです。 Gitリポジトリを解析して、あなたのアウトプットをグラフィカルに可視化します。

Forkwell Portfolioのご登録はこちら!

20180925152538