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「暗号を使ったライブラリを作るのは、新鮮な体験でした」安土茂亨(株式会社chaintope)~Forkwellエンジニア成分研究所

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ブロックチェーンが出てきた当初、なぜワークするのかわからないのが魅力でした

――現在の業務内容について伺えればと思います。

安土 主にブロックチェーン、ビットコイン関係のリサーチを行なっています。ホワイトペーパーにいろいろな提案が出ているのでそちらを読んだり、ビットコインのプロトコルをRubyで実装してライブラリとして公開したり、ブロックチェーンをベースとした実証実験を行なってきました。現在はリサーチと自社プロダクトの開発をメインにしてます。

――ビットコインの分野での開発は、どういう部分に課題があるのですか?

安土 どういう分野でしっかりはまるのか、というところですね。仮想通貨の取引であれば分かりやすいんですが、幅広く応用となると社会実装をどうやっていくのか、スケーリング問題、プライバシーなどまだ課題が多い状況です。応用分野は広く期待されているということもあって、企業さんから「こういう使い方はどうか」とお声がけいただいて、実証実験を行なうことも多いです。

――具体的には、どのような実験を行なっているのでしょう?

安土  デジタルアセット化した資産や、ポイント等をブロックチェーン上でスマートコントラクトをトリガーとして転々流通させる仕組みの実験が多いですね。あとは三井住友銀行さんや近畿大学の山崎重一郎先生と一緒に、3年前くらいから共同研究をしています。

――お仕事は、東京から来ることが多いのですか?

安土 そうですね。Twitterで連絡が来るケースもありますし、会社宛に問い合わせ頂くことも多いです。受託事業以外にも、ブロックチェーンの課題を解決して進化させるためのプロトコル開発等を中心にやっています。ベンチャーキャピタルさんから資金を得て行う開発事業ですね。

――ブロックチェーン事業を主とする企業様は、この連載では今のところchaintopeさまだけです。同じような事業をされている会社は、まだ少ないんですか?

安土 まだまだ少ないですね。僕の場合ビットコインを中心にやっているんですが、Ethereumを利用したDappsの開発者の数は多くなってると思いますが、1次レイヤーや2次レイヤーといったプロトコルレイヤーを開発しようとする会社は日本ではまだ少ないと思います。

――今までのご経歴について伺えればと思います。2003年に九州工業大学をご卒業されていますが、専攻は何だったのでしょうか?

安土 情報工学部で、コンピュータサイエンスを勉強していました。

――ブロックチェーンの技術は当時まだ無かったのですよね。

安土 そうですね。ただブロックチェーン自体は、いろんな要素技術を組み合わせて成立している仕組みなので。個別の要素技術自体は昔からあったりします。技術が出てきた当初はP2Pで一意の取引がなんで成立するのかよくわからなくて、その不思議な部分が面白いなという感じでした。

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15年間、ハウインターナショナル一筋。

――どのようなきっかけでブロックチェーンに興味を持たれたのですか?

安土 福岡県飯塚市で開催されているe-ZUKA Tech Nightというイベントがあって、学生や社会人が集まっているんですけど、そこで近畿大学の山崎先生が「ブロックチェーンが面白いよ」とお声がけくださったことですね。2015年3月ぐらいのことでした。

ただ、最初からお金を扱うのも怖いなと思って。「ビットコインの上に、ビットコインでない価値を乗せてやってみよう」ということになり、門司港での唐揚げ選手権・ラーメン選手権の投票権をビットコインのネットワークに流すという簡単なところからスタートしました。

――当時は、同様の取り組みをしている会社はありましたか?

安土 プロトコルを一から実装してOSSとして公開するのは日本ではほとんどなかったかと思います。技術的なハードルが高いこともあり。ただ参照実装はあったので、それをRubyに置き換えて実装して、という感じでした。

――話題を戻します。新卒で2003年にハウインターナショナルに入社されていますが、最初はどのような業務をされていましたか?

安土 ガラケーの着メロのシステムの一部とか、大手スーパーの業務アプリを作ったりといったことをやってました。新人だった頃は何を実装すればうまくいくか、何が最適なのかよくわかっていなかったですね。デザインパターンやアーキテクチャ設計などの技術的分野やソフトウェア工学について勉強しながら次第に軸となる部分を見つけていきました。その後、受託開発を続けながら、クラウド関係のインテグレーションに関わっていました。

――その後、15年にわたって転職せずハウインターナショナルさんに勤められています。それだけ会社が肌に合っていた、魅力的だったということなのでしょうか?

安土 設計やアーキテクチャの選択を自由にでき、最先端の技術を取り入れてモノを作る文化があったので、不自由はなかったですね。今後も、引き続きそういった部分にこだわりを持ってやっていければと思っています。

――今年4月からハウインターナショナルさんのCTOになり、5月からはchaintopeさんのCTOを務められています。業務内容に変化はありましたか?

安土 技術者の数もまだ少ないのと、技術ドリブンで進んでいる分野なので、マネジメントというよりは、技術的な追求をどこまでやっていけるかが勝負だと思っているので、より一層そこにフォーカスするよう意識しています。

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英語のホワイトペーパーを日々読んでいます

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉はありますか?

安土 「Develop with pleasure」という単語ですね。僕の好きなJetBrainsという会社の製品に使われている言葉です。開発が楽しくて好きなので、ずっとそういう気持ちで開発していきたいですね。「35歳定年説」みたい言葉が昔流行りましたが、幾つになってもずっと開発していくスタンスでやりたいと思っています。

――開発の楽しさを知った原体験はありますか?

安土 学生の頃に、Perlで書いたコードで自分のサイトを動かした経験が最初ですね。その後作ったもので印象に残っているのは、ビットコインのライブラリです。それまでウェブアプリケーションが多かったんですが、暗号を使ったライブラリを作るというのは新鮮な体験でした。

――ご自身の成長のために日々行なっていることはありますか?

安土 ホワイトペーパーを読むのが楽しいですね。ブロックチェーン系で今世界の大学で研究論文が出ているんですが、そこから有名なものを読んでいます。

例えばこのデジタル署名についての論文とか。デジタル署名は通常、1人(1組の鍵ペア)で行われます。これを2人で署名する場合に、署名技術だけでそれをどう達成するか、それを既存のブロックチェーンの取引にどう適用することで効率化やプライバシーの向上が図れるかという内容です。今使われているECDSA署名で、2者間の合意を署名ロジックだけで実現するプロトコルです。

――ブロックチェーンの理解には、大卒程度の数学の知識が必要と伺ったのですが。

安土 そうですね。どのレイヤーをやるかにもよりますが、ディープなところでやろうとすると、数学というか暗号の知識が必要になってきます。僕も大学のときは暗号分野を専攻していなかったので、今苦労しています。

――勉強は、主に英語文献で行なわれているんでしょうか?

安土 基本的に英語です。日本語になることは少ないですし、あっても遅れているので。Google翻訳にかけたりしながら読んでいますね。

どんな仕事も、アウトプットを続ければ面白くなる

――ここからは、安土さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・専門性向上 5

ホワイトペーパーを読んでいても面白いですし、あまり同じことを繰り返していたくないとも思っているので。今後も、専門性を身につける方向で成長していきたいなと思います。

・仲間 2

いればうれしいんですが、周りに数が少ないので。拠点が地方ということもありますね。

・お金 3

普通に生活していけるレベルであれば、いいと思います。

・事業内容 4

専門性向上をするにあたっては、同じ事業をやっているのが有利だと思うので。

・働き方自由度 3

フレックスではないですが、専門性・事業性を保ちつつ、ある程度裁量ある形で働ければと思います。

・会社愛 3

熱い会社愛という感じもないんですけど、エンジニアが自由に開発に集中できる雰囲気を保った会社でありたいなと思います。

――最後にキャリアに迷うエンジニアに向けてメッセージをいただければと思います。

安土 僕は、アウトプットをブログやGitHubのコード等で発信することで周囲に認知されてきた部分があります。どんなことでも構わないので、アウトプットを継続すると面白くなっていくんじゃないかなと思います。周りへの発信にはもちろん、自分が次どういうインプットをするかを考える上でも役に立つと思います。

<了>

ライター:澤山大輔

jobs.forkwell.com


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