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「『できること』だけでは、ユニークにはなれないし、市場価値も上がらない」中村州一朗(株式会社LOB)~Forkwellエンジニア成分研究所

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広告をクリックするわけないじゃないですか。

――本連載では初出となりますので、株式会社LOBさんがどのような事業を行なっているか教えてください。

中村 僕の所属はLOBなのですが、現在は楽天の「グローバルアドプラットフォームプロジェクト」におけるDSPのプロダクトマネージャーを担当しております。グローバルアドプラットフォームとは、楽天のデータとメディアを最大限に活用したプラットフォームを世界標準で提供することを目的としたプロジェクトです。

楽天は業界的にはアドテクや広告もやってはいるんですけど、アドテクに特化した部署やエンジニアが組織としていたわけではなかったんです。そこで、アドテクを専門にしているLOBがジョインし、プロジェクトを推進するために一緒にやることになったという経緯です。

――中村さんの職務内容としては、PMなのですね。

中村 そうです。今は日本だけでなく、US、フランス、シンガポール、インドの各拠点と連携して開発しています。広告主サイドの要件をまとめてアーキテクチャを決めるなど、「プロダクトとしてどうあるべきか」という問いに日々向き合いながらプロダクト全体の舵取りを行なっています。

――これまでのご経歴について伺います。2001年に大学を卒業されて、最初は制御系のエンジニアをされていたんですね。

中村 そうです。制御系のエンジニアからキャリアをスタートし、プログラマーとしての基礎を磨きました。WEBエンジニアとして活躍したいという想いがあってソフトウェアの勉強に勤しんでいましたね。
一方で、今後のキャリアを考えたときに、多岐にわたる業務知識が必要になってくるなと思ったので、証券系の企業に転職しました。そこでは株式取引に関わるシステム開発を担当し、最終的にはアーキテクチャ設計にまで携わりました。
その後、「ビッグデータ」という言葉が登場してきて、データに興味を持つようになったんです。ビッグデータ解析を業務でやってみたいなと。そういうものに挑戦したい一心で各業界について調査した結果、辿り着いたのが広告代理店でした。それが私と広告業界の出会いですね。

――広告代理店では、どんなお仕事を担当されたんですか?

中村 アドテク事業の中で複数の広告プロジェクトに携わり、最終的には開発責任者として従事しました。デジタル広告をやっていく中で、広告のあり方みたいなものに疑問を持つようになって。もっといい広告、マーケティングってないのかなという想いで、SNSの分析に特化していたホットリンクという会社に転職しました。

――広告について疑問に思われた部分は、どのあたりだったんですか?

中村 デジタル広告って、未だにクリック重視なんですよね。クリックをしてからコンバージョンにつながったかを評価される世界なんです。ただみなさんもスマホを使って見てると思うんですけど、興味のない広告をクリックするわけないじゃないですか。それなのに、クリックだけを成果として見ていく業界のあり方に疑問を感じたんです。

もちろんクリックで呼び込むというのも1つの成果で、正しい部分もあるんです。けれど、認知を目的とする広告はクリックしないじゃないですか。あとは最近動画広告も増えていますけど、動画を無理やり見せて「はい、認知しました」みたいなのも理解できないですね。広告主とエンドユーザーのことをあまり考えず、業者の論理で詭弁を話して納得させて……みたいな仕事に疲れまして(笑)
それだとデジタル広告の価値は下がってくると思うんです。
そうではなくて、もっと広告主が納得して、エンドユーザーが嫌な思いをしない広告の世界観を作りたいなと思うようになりましたね。

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プラットフォーマーとしての仕事がしてみたいと思ったんです。

――広告業界への疑問がホットリンクへの転職、そして現職であるLOBへと繋がったんですね。

中村 はい。ホットリンクでは、SNSマーケティングのプロダクトマネージャーとして従事しました。今までの広告とは別の切り口で、どのように物事を伝えていくかというところに重点を置いていましたね。SNSを使ったインフルエンサーによる拡散や、様々な最先端技術を利用したり。AIにも力を入れている会社だったので、AIの基礎や検索エンジンについても学び、それを元にプロダクトを創っていくのが面白かったですね。
ただ、ホットリンクにいたときに広告の世界ってある程度力関係が決まってしまっていることに気づいたんです。
世の中の情報源のベースがSNSである以上、TwitterやFacebookがロジックやルールを変えてしまったら、すべてに影響が出るんですよね。少し大げさかもしれませんが、プラットフォーマーのさじ加減で事業が大きく左右されてしまうなと感じました。
やはりプラットフォーマーでないプロダクトは勝てないというか、出来ることのアッパーが決まっており、業界を覆すだけのインパクトを与えるのは難しい。だからこそいつかプラットフォーマーの仕事をしてみたいなと思っていた時にお話をいただいたのが現職のLOBです。
LOBでの仕事の魅力は、なんといってもプラットフォーマーとしての仕事が出来るところです。先にも述べた通り、国内では随一であろう楽天グループのビッグデータを最大限活用し、世界標準の広告プラットフォームを生み出そうとしています。
今世界を代表するプラットフォーマーに驚きを与えるような最高品質のプロダクトを創っていきたいです。

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英語、結構やばいです(汗)。キャッチアップに努めてます

――入社後、楽天とタッグを組み開発が進んでいく中で、イメージと違った部分はありましたか?

中村 まず楽天という会社のイメージでいうと、僕が10年くらい前にイメージしていた楽天とは、全然違いましたね。グローバルカンパニーになっているなと感じました。社員の方も20パーセント以上が外国人ですし、純粋にすごいなと思います。日本発のグローバルカンパニーは数えるほどしかないので。
開発環境でいえば、大方イメージ通りでした。インフラやデータの面がすごくしっかりしていて。ただ、想像を超えていたという点でいえば、海外拠点とのコミュニケーションコストには驚きました。海外にも多くのグループ会社があって彼らと連携していくことは想像していたんですが、時差や言語だけでなく、文化の違いもあったりして。モノを作る上ではすごく大変だなと今も感じています。ただ、こんな経験なかなか出来ないですし、様々な文化が混じり合うことは「世界標準」を創る上で欠かせない要素だと思っています。ここを乗り越えれば必ず良いものができると確信しています。

――私も実は義弟が関連会社に入社したんですが、英語はなかなか苦労しているようです。中村さんは、どうキャッチアップされているんですか?

中村 結構やばいです(汗)。個人で短期集中型の英語学校に通ったり、毎日英語をやるようにはしています。日々のミーティングなどで英語は使うのですが、学習として。今はスピーキングの壁を感じています。PMという立場上、私がスピーキングできないと話にならずプロダクト全体のブロッカーになってしまっています。日本人としての意識がこびり付いてしまっているので、まずはそのマインドを解かないといけないなと痛感しているところです。

――外国人と日々接する中で、カルチャーギャップを感じたことはありますか?

中村 先にも述べましたが、カルチャーギャップは感じますね。特に働き方に対する考え方は国によって全然違うことを実感しています。海外の方が、断然ワークライフバランスを重視されていますし、共に開発を進める上では、そこを理解しないといけないなと感じました。「日本はこうだから」は通用しないので、それぞれの「文化」を尊重しながらプロジェクトを回していく必要性を感じます。

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「市場価値があるかどうか」は気にしています

――業務を行なう上で大事にしている考えや好きな言葉があれば教えてください。

中村 自分自身に「どれほどの市場価値があるか」ということは常に意識しています。IT分野において、ユニークな存在であり続けたいという想いは強いです。非常に早いスピードで移り変わっていく職種・業界なので、一歩先の未来をキャッチアップしていく前のめりな姿勢はこの先も持ち続けたいですね。
また、既定路線に捉われず、アウトロー的な意識は持っているかもしれないです(笑)。「皆がやらないことをやる」というのはユニークな存在となるための1つの手かなと思います。

――現在、マネジメント業務をされている中で、楽しさや難しさはどのあたりにありますか?

中村 現在のチームにおいての難しさでいうと、やはり言葉の壁ですね。先ほどもお話しましたが、想像以上に大変でした。ただ、実はこれ楽しさでもあるんです。海外のチームを巻き込んだマネジメントは初めての経験になるので、新しいことに挑戦できているワクワク感はあります。私のチームメイトは同じ気持ちだと思いますよ。チーム全体で言葉の壁に対して、もがきながらも正面から向き合っています。そして一歩ずつ着実に前に進んでいます。マネジメントの楽しさという答えになっていないかもしれませんが、そういった達成感は仕事をする上での最大の活力ですね。

――楽しんでいる半分、ノッキングして業務に支障が起きたらまずい、みたいなことも。

中村 そうですね。実際、もっとコミュニケーションを取れたりしていけば早く進むこともたくさんあると思います。ただ、これに関してはやるしかないので。急にはできないので毎日の勉強を積み重ねていくしかないかなと。

――そうなると、プライベートも含めてかなり刺激的な毎日ですね。

中村 そうですね。なかなか簡単ではないですが、刺激的です。

まだまだ、利息で食べれられるとは思ってません

――ここからは、中村さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・専門性向上 4

自分がユニークでないと、市場価値が上がらないので。技術の専門性だったり、仕事の内容だったり、英語でセッションができてエンジニアとしてコードを書けるという人は少ないので。そういったところは大事だなと思っています。まだまだ利息で食べれられると思っていないので、日々積み重ねなきゃいけないと思っています。

・仲間 4

1人でできることは限られてます。仲間を大事にして、チームとしてどう動けるかを一番に考えなきゃいけないと思います。業務にもよるかと思うんですけど、今くらい大きなプロジェクトだとより大事ですね。チームワークがなければ、なかなか進まないので。

・お金 4

変かもしれませんが、お金自体にはあまり興味ないんです。ただ、あまりに低いとさすがに「大丈夫か」「それだけの評価しかされてないのか」と思いますので、自分の価値を測る指標という意味では若干気になる部分ではありますね。

・事業内容 4

すごく大事ですね。「この事業が何かのためになるのか」「これをやるから頑張れる」というものを持ってないと、その気持ちも続かなかったりすると思うので、やる価値があるものを仕事にしたいと思っています。

・働き方自由度 3

割と自由に働いてる方かなと思います。ただ、僕はどちらかというとだらしない方なので縛ってくれる、ルールの中に置いてもらう方がパフォーマンスを発揮できるかな思います(笑)。

・会社愛 1

会社がどうでも良い、というわけではなくて。働いていくと、いろいろな仲間と出会って、いろいろなプロジェクトを進めていきますよね。基本的に会社というものに縛られなくても良いのかなという考えです。プロジェクト単位で考えて、会社が変わったら「部署が変わったかな」ぐらいの感じでいいと思ってます。前職の人ともずっと繋がってますし、連絡も取り合ってますし、ビジネスの話もしますし。会社という共同体には興味がなくて、仲間や今の関係を重要視すればいいのかなと。

――キャリアに悩むエンジニアの方々に、メッセージをお願いします。

中村 「これがやりたい」で転職する人は少数派ですよね。やりたいことって、なかなか見つからなかったりするじゃないですか。ただ漠然と次のステップは探している。そういう時は自分の市場価値はどれほどなのかを省みることをオススメします。そして、自分自身をどうブランディングしていくかを考えて、それに合うようなネクストアクションを起こすことが、最も良い形で次に繋がっていくと思っています。そこに「みんながやれないことに挑戦してみる」という観点を加えるとベターかと。多くのエンジニアがいる中で、自分自身をユニークな存在にブランディングして市場価値を高めていくというアプローチも是非とも考えてみてください。
そうすると、例えば転職候補先に対して「この会社で自分がどう輝いていくか」というイメージをするようになるんですよね。もし、しっかりとイメージできて、そしてそのために必要な環境が整っていることを確認できたら、躊躇せず一歩踏み出してみたらどうでしょう。

<了>

ライター:澤山大輔


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