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「『選んだ道を正解にする』のが大事だと思います」隅田歩(株式会社マツリカ)~Forkwellエンジニア成分研究所

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「20パーセントルール」から生まれた新サービス

――まずは、マツリカさんにおける隅田さん(Twitter, Github)の担当領域を教えてください。

隅田 直近でやっているのは、AI-Emailアシスタントツール「Notia」の開発です。エンジニアは1人なので、領域としてはフロントもバックエンドも全部やっていますね。

チームとしてはビズサイドに2人いて、1人がセールス、1人がマーケティングを担当しています。基本的にはセールスが「こういうものを作った方が良いんじゃないか」というのをお客さんにヒアリングなどをして見つけ出し、設計に落としてという流れで機能を開発していますね。

――「Notia」もそういうコミュニケーションから生まれたのですか?

隅田 そうです。そもそも、2年前ぐらいに社内でgoogleの「20パーセントルール」的なものをやりたいという話をし、じゃあ「週に1日好きなことやっていいことにしよう」ということになりました。その時間を使って何をやるか、ゼロから考えて進めてきました。

――20パーセントということは「週1日」なんですね。週4日は普通に働いて、週1日は新規事業の話をするというイメージでしょうか。

隅田 そんな感じですね。ただ、Notiaの開発が楽しすぎて、20パーセントルールと言いながら気がついたら土日も稼働していました。本業(Senses)も含めると、140パーセントの稼働ですね(笑)。

でも、ダラダラやるのが嫌なので、「やるならやる、やらないならやらない」ということで、2018年8月から「Notia」の開発にフルコミットすることになりました。

――今の1日のスケジュールって、どんな感じなんですか?

隅田 自分はエンジニアなので、基本的にはオフィスやリモートでひたすら開発に専念しています。お客様先に行くこともあります。

――「Notia」はどういう経緯でできたんですか?

隅田 弊社が開発したSenses(センシーズ)という営業支援ツールにメール連携機能(メールをSensesに自動取込みする機能)があるんですけど、そちらが非常に評判が良かったんです。それで、「メール関係の機能を別出しにして開発すれば、面白いものが生まれるんじゃないか」という事ではじめました。

色々とヒアリングしていく中で、「一度読んだメールを、後で返信するのを忘れないためにわざわざ未読に戻して管理する」という方が結構いることがわかりました。ただ、日々の業務に追われ「未読に戻す」ことすら忘れてメールが埋もれてしまう、という課題も見えてきました。

――たしかに、メールを読んで後で返そうとしたけどそのままにする、ってすごくあります。

隅田 そうですよね。でも、この方法だと作業効率が非常に悪く時間が勿体無いので、重要なメールで未返信のものに対して通知をする機能を開発すればいいのではと思いました。実際、その機能を気に入ってくれているユーザーさんは多いかもしれないですね。

――他にはどういう機能があるんですか?

隅田 他には、開封通知や日程調整機能があります。開封通知は特にセールスパーソンにとって有用な機能だと思います。

相手がメールを開いたという事をリアルタイムで通知してくれるので、的確なタイミングでコールをすることができ、電話がつながる確率が格段に上がります。

技術としては、本文に小さい画像を埋め込んでいます。一般的なメーラーは、メールを開くと画像が自動的に読み込まれるので、それがリクエストとしてNotiaのサーバーに通知される仕組みとなっています。

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「売り方を学んできなさい」と言われ、マツリカに入りました

――大学生だった2010年から株式会社フリーメークさんでインターンを始め、東海大学大学院を卒業して東芝さんに入られたとか。

隅田 そうです。当時はヘルスケア事業を担当していました。元々ある部門の一部だったのですが、新規事業として切り出されるぐらい成長していました。そこに配属されたんです。

自分は医療会計システムの開発部隊に入ったのですが、人手不足のため、一時的に電子カルテ構築部隊に駆り出され、電子カルテを病院に納品する仕事に従事していました。納品と言っても渡して終わり、ではなくネットワーク環境を構築したり、医師や看護師が使うPC全てにソフトウェアをインストールするところまでやっていました。コミュニケーション能力や技術力の高さを評価され、当初2ヶ月ぐらいの予定が、結局10ヶ月ぐらいやっていました。

そのあと開発部隊に戻ったのですが、半年ほどしてすぐに辞めました。在籍は2年ぐらいでしたね。もともと人脈を広げるために入社したというのもありまして。東芝は大きな会社なので、火力とか原子力とか半導体とか、いろいろな部署にいろいろなメンバーがいました。その目標はある程度達成できたのと、正直仕事内容的にあまり好きになれなかったので。「早くやりたいことを見つけて行動しなきゃダメだ」と思って、退職しました。

あと、大企業はやっぱりルールが多いんですよね。そしてルールって、基本的に「破る人がいるから作られるもの」だと思うんです。人が多いとどうしても統制しないといけない、それはわかるんですが、優秀な人間は動きづらくなってしまう。それは大きな課題だと思います。

――確かに、ルールを守らない人に合わせないといけないわけですからね。

隅田 そうなんですよ。

――大企業が悪いというか、そうしないと維持できない組織の限界なのかもしれません。

隅田 そうですね。どうしても、あれぐらいの規模に組織が成長したらそうなってしまうのかなと。あと東芝にいたときに思ったのは、上層部はもっと優秀な人が働きやすい環境にすること、努力する人を持ち上げる仕組みを作る必要があるなと。

――組織の底上げ以上に、今求められているのは上層部の意識改革のほうかもしれませんね。

隅田 おっしゃる通りです。それでいうと、今は先頭を切るリーダーが少ないんですよ。マネージャーはいっぱいいるんですが、コストダウンを考えたり調整したりする人です。そうではなく、「俺の背中を見ろ」みたいなリーダーがもう少し増えてもいいのかもしれませんね。

――その後、起業を考えられたんですね?

隅田 そうです。飲食店によくある注文タッチパネルに代わるアプリを開発しようと思って。大手チェーンに行くとタッチパネルがありますけど、個人店で導入しようとするとかなり高いんですね。だけど、ディスプレイなんてそれこそスマホでいいし、それなら誰でも持っています。そう考えて、1年間自分1人でアプリを作っていたんです。

今思うとバカだなと思うんですけど、ヒアリングもせずに作っちゃったんです。それで投資家のところに行って「こんなの作りました」と言ったらボロクソに言われて(笑)。「売り方を学んで来なさい」と言われたので、プロダクト作りから販売まで一通り経験できるベンチャー企業に入ろうと考えました。

もしかしたら、起業ノウハウ本などを1冊でも読んでおけば投資家の評価も少し違ったのかもしれませんが。でも、技術面をじっくり磨くことができたので、一人で起業準備をしていた時間は無駄ではなかったと思っています。

――その1年間は、他の仕事もせずにその開発をしてたんですか?

隅田 フリーランス的な感じで単発の仕事をもらってはいましたが、基本的には東芝時代に貯金をしていたので、1年ぐらいはお金が入ってこなくても生活できるようにはしていました。

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「世の中をワクワクさせるサービス」を作りたい

――それで、マツリカさんに入られたのが2016年5月なんですね。最初はどんなことをされたんですか?

隅田 入社したての頃は、Senses(センシーズ)がまだベータ版で、足りない機能がとにかく多かったので、ひたすら新規機能の開発をしていました。いろいろな外部連携機能を作ったり、自分たちで表やグラフをカスタマイズできるカスタムダッシュボードなどを作ったりしていました。去年までの約2年半、かなりSensesにコミットしました。

――印象に残っていることはどんなことがありますか?

隅田 顧客ごとに営業スタイルが異なるので、それをどのように設計に落とし込んでいくかが難しかったことですかね。基本的にはミニマムで出してから、定量的/定性的なデータを見つつ機能をブラッシュアップしていきました。

――やはり「ミニマムで出す」って大事なんですね。

隅田 そうですね。あと、不要なものは勇気を持って捨てるのも大事だと思います。

――あらゆることで言えそうですね。とりあえず出して、反応を見てPDCAを細かく回す。そういえば隅田さんは貴社のMemberページによると「面接で意気投合し数時間でjoinが決定した最速join記録保持者」だそうですね?

隅田 そうです、これは未だに破られていない記録です(笑)。役員二人と1時間喋ったら意気投合して、強いプッシュを受けまして。3人で面接をしていたんですが、途中から個別に話したいと言われて片方の役員にカフェに連れて行かれ話した後に、「もう残りの役員にも会ってほしい」と言われて、1日で4時間ぐらいヘトヘトになるまで話しました(笑)。

主な話はマツリカのミッションと、自分の人生のミッションについてですね。自分は世の中をワクワクさせるサービスを作りたいんです。そう思ったきっかけはグーグルストリートビューでした。当時まだ出たばかりの頃、「これはなんだ、どうやって作ってるんだ」ととてもワクワクしたのを覚えています。自分も、ああいう人をワクワクさせるものを作りたいんです。マツリカのミッションも同じ方向を向いていたので、共感することができました。

――今後、Notiaはどういう世界観を構想されていますか?

隅田 「情報選択のために使っている無駄な時間をNotiaが削減し、より創造的な時間を生み出していく世界」を目指しています。今の時代、情報が溢れすぎていて、そこから必要なものだけを上手く選択できている人ってそう多くはないと思うんです。実際に自分の周りを見ていても、例えばメール一つ取ってみても処理しきれていない人が多々いまして。

なので、Notiaを使うことによって情報処理を効率化し、それによって生み出された時間をその人にとって価値のある時間として使って欲しいと思っています。

今は、主力機能として「重要メール通知」「開封通知」「日程調整」の3つがありますが、ゆくゆくはメール添付資料のトラッキングなど、新たな機能の開発を視野に入れています。

――業務を行う上で大事にしているモットーや好きな言葉があれば教えてください。

隅田 大切にしているのは「正しいものを最速で作ること」ですね。1年間自分一人で開発している時に思ったんですけど、最速で作るのは意外と簡単でも「正しいもの」を作るのはすごく難しいですね。たとえ、機能を実装することが後回しになっても、「正しいものは何か」をしっかり議論した上で開発に入るようにしています。

――「正しいもの」というのは一人よがりでなく「世の中に求められているもの」ということですね?

隅田 おっしゃる通りです。

――「Notia」を開発する際にも、そういう点を心がけられたんですね。

隅田 そうですね。併せて、Notiaを立ち上げる際には、「トガったものをつくろう」ということも心がけました。最初からいろいろな機能を実装しすぎると全て中途半端になり、「このサービスは何を解決してくれるか」がわからなくなってしまうので、「これは必ず解決します」という「トガリ」を明確にするようしました。

やるからには、誰の何を解決するかがすごく重要

――ここからは、隅田さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・専門性向上 3

「Notia」に限ると、自分はデータベース系ではリレーショナルデータベースみたいなものしか使ったことがなかったんですけど、メールってとんでもない量なんですね。容量が増えるのは見えていたので、「パンクする時期が絶対に来る」と思って先手、先手で技術的な革新をやりました。その姿勢はやめちゃいけないし、より積極的にならないといけないなと。

・仲間 5

この会社にいる大きな理由なので。自分が失敗したのは、パートナー・仲間がいなかったせいだと思っています。今組んでいるセールスのメンバーは弊社のトップセールスであり、自分の持っていないものを持っている人間です。彼に頼ることで、大きく成長できました、やはり仲間は重要ですね。

・お金 2

無我夢中でやっていればついてくると思うので。生活に困らなければいいです。

・事業内容 5

やるからには、誰の何を解決するかがすごく重要だと思います。自分も元々フィルタリングや効率化がすごく好きだったので、そういう意味で今の「Notia」にはハマっていますね。

――昔からフィルタリングが好きだったというのは?

隅田 これからは情報がどんどん増えてくるので。ニュースもそうなんですけど、うまく「これを読めればいい」というフィルタリングができたらと思っているんですよね。だからいろいろアンテナは張っていました。

・働き方自由度 2

あまり重要ではないですね。ゼロからイチをやるときは、リモートだと難しいと思っていて。週に1日は一緒の場所に集まって話し込んでいるんですけど、自分はあまりリモートしたいという希望はないので2にしました。

・会社愛 3

これも仲間と事業内容が先行して引っ張って行くものだと思っていて、この2つが伸びると勝手について来て会社愛もついてくるのかなというので3にしました。

――キャリアに迷うエンジニアに向けてメッセージをお願いします。

隅田 自分が現状で正しいと思った道を、自信を持って選択してほしいですね。そして、1年後でも10年後でも「正しかったよね」と思えるように全力で行動してほしいと思います。結局、その時の選択って正しいかなんてわからないんですよ。選んだ方を答えにする、というのが大事だと思います。

――迷うということはどちらもメリットがあるということですからね。

隅田 その通りだと思います。

<了>

ライター:澤山大輔


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