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「チームで動くには工夫が必要です」得沢真紀(株式会社イノス)~Forkwellエンジニア成分研究所

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女性は、女性限定コミュニティの方が来やすいんです

――BMXUGさんはIBMのクラウドプラットフォームであるIBM Cloudのコミュニティということですが、この名前はどこから来ているのでしょう?

得沢 IBM Cloudというのが以前はBluemixという名前だったので、「Bluemix User Group」の略でBMXUGという呼び方になっています。2017年にIBM Cloudに名称が変わったのですが、コミュニティの名前は昔のままということで。

――コミュニティ自体は昔からあったのですか?

得沢 コミュニティ自体は関東とか大阪にもありました。九州も2016年に九州支部が立ち上って、そこは男性でも女性でも誰でも参加できるコミュニティでした。その中で「女性を盛り上げていこう、女性エンジニアを盛り上げていこう」という流れになり、私がたまたまそこに参加していたので「女子部を立ち上げましょう」ということになりました。そこで2016年の冬、BMXUG九州支部のスピンオフとして福岡女子部が作られた形になります。

――2年くらい継続されているんですね。活動としてはどういった内容になるのでしょう?

得沢 ハンズオン形式でIBM Cloud上で動くアプリケーションを作る、という勉強会になります。IBMの方に最新情報を講演いただいたりもしています。2017年は仕事の関係で私が動けなかったので、回数としてはまだ5回くらいしかできていないんです。次回は2月にやる計画なのですが。開催できない期間は、九州支部の勉強会にお願いしてみたりしていました。

本当は、女性は女性限定コミュニティの方が来やすいんですね。できれば女子部で開催したいのですが、できない場合は九州支部の案内を出して、そちらに参加してもらおうという形にしていました。

――女性だけでないとやりづらいというのは、どういう理由だと思われますか?

得沢 多分、単純にわからなかったときに聞きづらいし、身構えちゃうんじゃないかなと。和気あいあい、ほんわかな雰囲気は女子ならではというか。実際に、参加者の方からも女性のみのほうが参加しやすいと言われましたし。女の子同士のほうが「ちょっと行ってみよう」という気になるのはなんとなくわかります。

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自分の仕事は可愛くない、違うことをやりたいと思ったんです

――現在所属されている株式会社イノスは、どのような会社なのですか?

得沢 SEが多い会社です。お客さまのところに入って開発サポートをしたり、自社で開発を請け負ってお仕事したり。どちらかというと開発をメインとしている会社ですね。金融、医療、製造業、流通など幅広くやってます。女性社員が多いのも特徴ですね。

――創立は1985年6月! 今年で34年目ですか、かなりの老舗企業ですね。

得沢 そうですね。会社としては昔からあります。

――得沢さんの仕事内容はどのようなものなのですか?

得沢 今はどちらかというと上流工程をやっていまして、自社ではないのですがPMをしています。普段は計画をたてるのがメインで、それに則ってちゃんと進捗が進んでいるか、開発している人の進捗を追ったり課題点を洗い出したりし、それらをまとめてお客さまに伝える役目ですね。

もともとは開発・製造をやるエンジニアで、PMというポジションを担当するのは今回が初めてになります。それまではアプリリーダー的な役目をやったり、あとはPMO、PMのサポートみたいな役職をやっていたりもしました。

――これまでのご経歴についても伺いたいと思います。新卒ではどこに行かれたのですか?

得沢 新卒ですぐに今のイノスに入りました。1998年ですね。

――ということは、イノスさんに入られてから相当に古株にあたるんでしょうか。

得沢 いえ、実は出戻り組なんですよ。2006年、32歳のときに一度フリーランスになりました。その2年後に別の会社に入ってそこで7年勤め、2015年にイノスに復帰しました。

新卒時は、プログラムを作っていましたね。IBMのオフコンで、今は「IBMi」というものなんですが、当時は「AS/400」という名前で。オフコンなので、黒い画面に緑の文字がある昔ながらのやつですね(笑)。その仕事に8年間従事していました。

――その後、2006年からフリーになられたと。どういった理由でフリーを選択したんですか?

得沢 まずきっかけになるんですが、黒い画面って可愛くないんですよね(笑)。新入社員で入った時に私がオフコンの仕事をしている一方、同期の女の子はWindows系のアプリを担当して「アイコン作ったよ」とか可愛いこと言っていて。色があるだけで羨ましくて(笑)。自分のやっていることは可愛くないなと。いずれ違うことをやりたいと思っていたんです。

それで、ちょうど30歳になるときに「このままでいいのかな」と思ったし、当時は英語にも興味があって英会話学校にも通い始めていたんです。で、そこで出会った人たちと話していたら、「留学をしてもいいのかな」と思って。勇気を振り絞って、外に出ることを決めました。

――フリーランス期間に、海外留学をされていたんですね。

得沢 はい、最初の半年だけなんですけどもカナダのカルガリーへ。1988年に冬季オリンピックが開催された土地ですね。私が行ったときは5月だったのでそれほど寒くなかったんですが、帰国する10月頃はもう雪が降っていて。

現地では、基本的に英会話学校に通っていました。その後、他の子たちはワーキングホリデーという形でアルバイトをやっていたんですが、私は年齢的に(バイトが)できなかったので、ボランティアという形で移民関係の事務処理をやっていました。

――カナダに残るという選択肢はあったのですか?

得沢 それが、もう結婚していたので半年で帰ることは決めていたんですよ。

――なんと! 結婚されているのに単身で留学を決断されたのはすごいですね。旦那さんは、どうおっしゃっていたんですか?

得沢 「いい加減、行ってきたら?」と言われましたね。それまで2年くらいずっと「海外留学したい、でもどうしようかな」と言っていたので(笑)。

――素晴らしい関係性ですね。その後、留学から帰ってきてから福岡に戻られたんですね。

得沢 はい。以前に一緒にお仕事をさせていただいた女性からお誘いを受けて、フリーで働き始めました。でも、これが結局「黒い画面」に変わりはなかったんですよ(笑)。結局はエンジニアとして技術力が求められているので、留学に行って帰ってきたけど変わらないなと。

その後、福岡情報ビジネスセンターというところに7年務めました。「FBI」という略称を採用しています(笑)。

――FBIって!(笑)

得沢 本当は順番通りに略すと、FIBなんですけどね。名刺交換するときのウケはいいです(笑)。

――こちらでは、どのようなお仕事をされていたんですか?

得沢 ほとんど会社には戻っていなくて、お客さまのところに常駐で入って開発リーダーをやっていました。こちらでは半分コードを書いて、半分は管理をしてという感じでしたね。やっぱり、しばらく管理をしているとコードが書きたくはなりますよ。人のコードを見たときに「もっとうまい書き方があるのに!」とか思ったりしていました(笑)。

――その後2015年にイノスさんに9年ぶりに復帰されたと。これは、どういう理由だったんでしょう?

得沢 諸事情があって前の会社を退職したんですが、しばらくしてイノスのテニス同好会に参加したときに現在のイノスの社長から声をかけられたんです。

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男性が多い職場、いろいろ工夫もしています

――業務を行なう上で、大事にしているモットーや好きな言葉はありますか?

得沢 今はチームのリーダーをさせてもらっているので、雰囲気づくりを一番大事にしています。どうせ仕事するなら、楽しくやろうと。チームは男性がほとんどで、9:1くらいですね。

――難しいこともありそうですね。

得沢 そうですね、いろいろ工夫はしています。以前、お客様のところに入ってリーダーをしていたときは全員男性で、全員が年上だったんです。AS/400の技術者は年齢層が高くて(笑)。ですので表現など工夫しました。

――どのような工夫をされたのですか?

得沢 まずは、早口にならないこと。早口だと、怒っているように聞こえてしまうこともありますから。あとは、できるだけ否定的な言葉を使わないことですね。「できない」「ダメ」とか否定的な表現ではなく「するのが難しい」「~の方がいい」のように少し表現に変えるということは考えていました。否定されると、プライドが傷ついてしまう人もいると思うので。あと、プロジェクトマネジメント入門の本で読んだ、「質問・傾聴・共感」の3つを心がけていました。

今後、チャンスがあるならちょっと億劫だなと思うこともチャレンジしてみようという気ではいます。例えば本当に些細なことですが、お客さまから難しい依頼を受けたときに「調査するのも大変なんだけどな」と思っても、NOと言ってしまわずにとにかくやってみるとか。そういうことは大事だと思いますね。

――ありがとうございます。そのほか、日々の情報収集はどのように行なわれていますか?

得沢 BMXUG本部のFacebookの技術情報を見たり、個別で技術情報をFacebookに載せているものももちろん見ます。あとは、分からないことがあったらQiitaで調べたりですね。

――留学経験がおありですから、英語の情報収集もしやすいのでは?

得沢 確かに、抵抗感はそんなにないですね。検索すると英語のサイトしかなかったときも、気負いはせずに見ています。

ただ、英語のスキルが仕事ですごく役に立ったかというとそうでもないですね。もともと英語の勉強をしたのは「将来子どもができたら今ほど働けないだろう」と思って、家でも仕事ができるようなスキルを身に付けたいと思ったからでした。でも留学から帰ってきてみると、紹介を受けてお仕事するようになって、英語を使う機会がないまま10年くらい経ってしまって。

PMOのお仕事をさせてもらったときは製造担当がインドの会社さんで、進捗などすべてが英語だったんです。そこで、初めて英語が役に立ちましたね。インドの英語は今まで聞いてきた英語の発音と違ったので、プロジェクトに入りたてのころは全然聞き取れなかったんですが(笑)。この仕事は、英語をやってたからこそいただけた案件でした。

「何事もチームだ」という意識を持っています

――ここからは、得沢さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・専門性向上 4

元々プログラムを作るのが好きなので。今勉強会でやっているIBM Cloudも今までやってきたAS/400と全く違うものですし、モノを作っていきたい気持ちがあります。

・仲間 5

「何事もチームだ」という意識を持っています。何を作るにしても、やるのは人なので。

・お金 3

採算度外視で、お願いされたらついやっちゃうタイプですから。本当はお金も大事だと思うんですけど、それよりも専門性とかを優先しているんだろうなと。

・事業内容 3

会社に所属しているのであれば、会社というか自分たちの事業の方向性というのは定まっていなければいけないと思います。大事にしたいです。

・働き方自由度 4

会社を何回も辞めているというのもあるんですけど(笑)、縛られると嫌になるタイプなので。自分のやりたいことができるかどうか、という自由度を重視しています。今の会社は「産休に入る前で会社に来られない」等の条件があれば、リモートワークも可能です。

・会社愛 1

会社のことは好きですが、一度辞めてしまっていますし(笑)。

――最後に、キャリアに迷っているエンジニアに向けてメッセージをお願いします。

得沢 軽い発言になってしまうと申し訳ないんですが、とにかくチャレンジしてみることですね。私のように、会社を飛び出して留学してみたはいいけど、結局しばらくは何の役にも立ってなくて、10年経ってやっと役に立つこともありますから。人生、何がどう転ぶかはわからないですね。会社に入ることは誰だってハードルが高いと思うんですが、今はコミュニティや勉強会がたくさんありますから。そういうところに行って、いろんな人と出会って会話するのがいいと思います。

<了>

ライター:澤山大輔


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