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「1つのスキルを極める、以外の道もある」山本剛史(株式会社キッズスター)~Forkwellエンジニア成分研究所

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広くやっていた方が、いろいろな隙間に入れます

――キッズスターさんは、どういった会社さんなんでしょうか?

山本 子ども向けのアプリを制作している会社です。これまではキネクトを使った、体感型のコンテンツも制作していたのですが、最近は「ごっこランド」というごっこ遊びのアプリ1本で頑張っていこうという流れになりました。当面は「ごっこランド」を充実させ、「アプリ版キッザニアを目指すぞ!」みたいな意気込みで進めています。

――その中で、山本さんの現在の業務内容を教えてください。

山本 今までは3DデザイナーかUIデザイナーでやってきたのですが、「ごっこランド」を制作する上ではUnityを使ってデザインをUIに落とし込んだり、アニメーションをつけてエンジニアに渡したりと……デザイナーとエンジニアをリンクさせるポジションかなと思っています。

――これまでは、どういったご経歴だったのでしょうか?

山本 キャリアの前半は、歴史系のゲームを多く出している大手のゲーム会社で、コンシュマー向けやPC向けのゲームを作成していました。そこでは色々なパートを渡り歩いて仕事をしていました。

大学を卒業してすぐは別のパソコンゲームを作っている会社で働いてたんですけど、そこを辞めるタイミングで、偶然そのゲーム会社が映像制作の子会社を設立しまして、ゲームではなく映像が作りたかったので入社しました。「本社以外の仕事も請け負いますよ」という話に惹かれたのが大きいですね。

けど、気がついたら本社のゲーム制作の仕事オンリーになってしまい、分かれている意味がないということで、吸収合併されました。

そこから同社に所属し、2007年から3年ほどカナダに行きました。カナダでは主にインターフェースデザインのお仕事をしていました。日本には2010年に戻ってきたんですけど、カナダの仕事と環境が違いすぎて、やってられなくなってしまったんです。

――どのあたりが理由だったんですか?

山本 日本は、上司のパワーが強いですよね。ある人が「黒」といえばすべてが黒、になってしまう世界なので。常に圧力を感じながら、攻め立てられるように作るプロセスが辛いなと思ってしまったのです。カナダは日本本社の子会社とはいえ、たどり着くまでのプロセスはとても自由でした。それで2013年に会社を辞め、子供向け動画アプリを制作している会社に入りました。

ところが、それまでの無理がたたって体調を崩してしまい、3ヶ月程で辞めてしまいました。その後1年半ぐらいは何もしていませんでしたね。ただ、静養している中で「フリーランスならできそう」という感触を持ち始めていたので、思い切ってフリーの仕事をスタートしました。

――受けられた仕事は幅広いですね。映像製作、ウェブ製作、3Dモデリング、漫画製作、教育素材製作、教育関連講師補佐……今までのスキルを全部投下されている印象です。

山本 確かにそうですね。1つのことだけに精通してプロフェッショナルになれれば良いんですけど、そうじゃないやり方もあると思って色々手を出しました。広くやっていた方が、いろいろな隙間に入れる部分はあると思います。

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インパクトが大きかった、カナダでの経験

――そして、2016年4月からキッズスターさんに入社されたと。きっかけはどのあたりだったんですか?

山本 先ほどの子供向けの動画制作会社の社長とキッズスターの社長が知り合いで、「ちょっと池尻大橋で飲みたいから来てよ」と言われて。普通の飲み会だなと思って行ったんですけど、着く直前に「ものづくり学校っていう面白いところがあるから、行きませんか?」と言われて(笑)。ついて行ったらキッズスターにいて、その流れで会社の紹介とかされました(笑)。

でもすぐには入社せず、1年ぐらい空いたんです。ただ、その時は好印象をもっていて「会社組織にまた入るのもありかな」と思ったんです。それで、1年後にたまたま別件であるエージェントと知り合ったんですが、彼から紹介された会社がキッズスターだったんですね。

――本当にそれはご縁ですね。実際に入社して、どうでしたか?

山本 予想以上に優秀な人がいる会社だなという印象でした。能力というよりも精神的に優秀というのでしょうか。大きな会社って、デキる人もそうでない人もいるので、小さい会社ってどうなんだろうと思っていたんです。実際に入ってみたら優秀でポジティブな人が多いですね。ポジティブって攻撃性になりかねないのですが、ここのポジティブは優しいポジティブさでした。

――キャリアを積み上げる上で、「この仕事が一番役に立っているな」というものはありますか?

山本 時々によって違いますかね。一番インパクトがあったのは、カナダに行ったことでしょうか。全く考え方の違う人たちと仕事をする面白さ、難しさの両方があって。正直、最初は「カナダの人たちに、日本のゲームの作り方を教えてやろう」という気持ちもあったと思います。でも、それは思い上がりで、予想以上に北米のマーケットは大きくて、作り方も違うのですが、成熟した市場と制作環境がありました。

金銭の使い方、時間の掛け方、手直しのペース配分など無駄の多いところはあったんですけれど、彼らはとても自由な発想と考え方で物を作り上げていました。自分たちは発想がパターン化されている感じがして、これではいけないなと思うようになりました。自分の価値観を崩してみたくなって、担当ではないパートも勉強して色々な事が出来る様になっていこうと考える様になりました。今の会社で仕事をしていても、物事を柔軟に考えない人がまだまだ多いなと感じる事があります。下手をすると価値観の硬化って自分の可能性すら狭めてしまう事もありますからね。価値観のずらし方を知れたという意味でも、カナダでの経験はすごく勉強になりましたね。

――カナダの人たちは自分たちの技術もオープンに提供してくれるし、得たいものも貪欲に得にくると。

山本 そういうところもありましたね。ゲームを制作するのに、各パートのエディタも組み込まれたゲームエンジンをイチから作ってやろうという気概がありました。結局メンバーが抜けたり、オフィスが閉じてしまったりとかで資産として活用できなくなりましたが、日本にある資産は使わず、自分たちで作りたいという気持ちがありましたね。一見無駄な事かもしれませんが、ここから得た事も多かったと思います。

――業務を行なう上で、大事にしているモットーや好きな言葉があれば教えてください.

山本 「考える前にやる」でしょうか。自分は、どちらかというと考えてしまうほうなんですよ。「これ、やったらどうなるのかな」とか。だから、無駄に考えないようにしています。あとは、「困っている人がいたら、すぐ仕事を奪え」ですね。

――フリーランスのサガですね。

山本 自分ができそうなパートだったら、なるべくもらうようにしています。仕事って善意で完成に向かう事もあるのですよね。助け合いです。

――ご自身の成長のために、日々行なっていることがあればを教えてください。

山本 最近は定期的にセミナーに出ています。可能な限り毎週行くようにしていて、何かしら発言していますね。メインはUnityなんですけど、それだけじゃなくて例えば粘土とか。造形師さんがやっているセミナーにも通っています。

――粘土! やはり、デザインに役立つところがありますか?

山本 はい。特に立体物って、画面だと2Dじゃないですか。どんなに3Dで表現しても出てくるものは2D。なので、身体を動かして奥を見るというシチュエーションってないんですよ。回転させれば擬似的には感じられるんですけど、カメラで見えているものと違うので。

モノを作ることを、忘れないようにしたいですね。仕事のモノ作りばかりやりすぎるといけないので、定期的に自分の気持ちをリフレッシュさせています。

あとは、人に教えることを想定しながら文章を書いています。多分、マニュアルを作るのは好きなんですよね。ゲーム会社にいたときも、今まで作った資産のデータベースを作って、再利用しやすいような環境を作っていました。

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辞めたいと思ったら、すぐに辞めることが大事。

――ここからは、山本さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・専門性向上:5

専門職をやっている以上、自分自身が成長して行けるかが一番大事です。自分にうまくプラスになるような経験ができれば良いと思いますね。

・仲間:4

よい仲間がいないと、働きにくいですね。ギクシャクした状態で、よくわからないストレスを持ちたくないです。仲間となんでも気軽に話す、相談ができるという状態じゃないと、長続きしません。

・お金:5

これは後々「考えたくないから」という理由です。「なんでこんなに安いのに仕事してるんだろう」とか思いたくないので……ちゃんと自分の想定する額をもらえる状況を作って、あとはお金を考えないで仕事をしたいと思います。

・事業内容:3

専門性を活かせる方向で経験できるなら、事業内容はそこまで気にしてません。仲間がいれば、良い事業は付いてくるという側面もあります。ほとんど意識していません。

・働き方自由度:3

「家で働いてください」と言われれば働きますし、「会社で」と言われれば会社で働きます。ただ、忙しいと会社で寝泊りをはじめるので、在宅可だとありがたいです。キッズスターではリモートワークが可能なので、家で作業ができるのは大きいですね。とはいえ、こだわっている訳でもないので、3にしています。

・会社愛:0

会社というか、「仲間」で良いんじゃないかと思うんですよね。仲間の方が大事、会社は別にどうでも良いです。この仲間と一緒に別の会社を立ち上げても良いわけだし、組織そのものへの愛着は湧かないです。ただ、ありがたいことに今までも仲間には恵まれていましたので、辞めたとしても、またこの人たちと働きたいという思いを持ちながら仕事をしてきました。

――最後に、キャリアに迷うエンジニアに向けてメッセージをお願いします。

山本 辞めたいと思ったら、すぐに辞める行動に入って良いと思います。ただし、次の会社については真剣に考えること。自分にとって何がメリットか、自分は何を求めているのか、譲れないものはなにか、真剣に考えぬくことが大事です。そして、動いたらもう後悔しないこと。切り離したものは帰ってこない、と考えることも必要です。

――ヘンに情に惑わされず、決断すべきは決断する、同時に自分の未来を真剣に考える。シンプルですが、非常に重要なことですね。本日は、ありがとうございました!

<了>

ライター:澤山大輔


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