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「基本的に『エッジを効かせていこう』って思ってます」かろてん(株式会社ジオロジック)~Forkwellエンジニア成分研究所

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Wantedlyの記事、トガりすぎてませんか

――Qiitaの記事をいくつか拝見しましたけど、面白いですね。めちゃくちゃ文才がありますね。

かろてん(以下、かろ) ありがとうございます。書くの大好きなので。

――Wantedlyの記事も拝見しました。ヤブモトさんが奥穂高に行った、というところまでは本当なんですか?

かろ はい。本当です。

――それ以外は創作なんですか?

かろ いえ、大体本当です(笑)。気になる方はぜひ弊社まで来ていただければ。一応、編集者(上司)の全面協力のもと、何度もレビューをして貰って書いた記事です。ぜひ、ライターさんの観点からいろいろお聞かせいただければと。

――僕(澤山)は本職が編集者なんですけど、タイトルからしてWantedlyにこれが載ってること自体がおかしいですよね(笑)。

かろ タイトルは重要ですよね、やっぱり。

――重要だし、どんな会社か一発で分かりますね。「こういうキャラクターだから、これを許容する人に来てほしい」と。すごくいい記事だと思います。

かろ ありがとうございます。実は弊社に最近エンジニアが増えたんですけど、この記事をすでに読んでくれていたようで、社内の雰囲気がかなり具体的に掴めたといってました。その方もすぐ弊社に馴染みました(笑)。

――他の記事を拝見しても、「私が船を選んだ時。。」とかタイトルからしてぶっ飛んでますよね。「スマホ広告主ランキングから1社も受注してない問題」とか。

かろ 基本的に皆「エッジを効かせていこう」っていう思想を持ってます。ベンチャー企業なので。弊社の代表もそういう記事を幾つか書いています。

――面白いです。冒頭に紹介した数記事で、貴社のキャラクターはかなり伝わるかと思いますが、改めてご紹介をお願いできれば。

かろ 弊社ジオロジックは、位置情報を活用して非常に訴求力の高い広告を配信する会社です。例えば、今回のインタビュー場所である「Connecting The Dots」さんのコワーキングスペースの広告を出したいという依頼が弊社に来たら、「じゃあ、この建物から半径5km以内にいる人・来たことがある人に広告を出します」ということができるんです。
web広告ってECサイトやweb上に店舗があるサイトの広告を出したり、アプリの広告を出したりが一般的です。でも、弊社のお客さんは「実店舗を持つお客さん」なんですね。飲食店だったり大学だったり不動産だったり。

――実際の店舗に強く結びついた情報を使って、広告を出せるんですね。

かろ そうです。さらに不動産だと、「この新築マンションの半径10km以内に住む独身男性」みたいなこともできます。位置情報とお客さんの情報を掛け合わせ、強い訴求力を持った広告を出すことができるんですね。

いろいろな活用の仕方があって、最近だとジムが多いですね。住んでいる場所や職場に近いジムの広告を、その人のスマホに出すことができます。

――なるほど。広告が嫌われる理由は要するに「関係ないものをデカデカと見せられる」ことだと思うんですが、そういう観点からいえば位置情報ほど「関係ある」ものもないですね。

かろ そうですね。普通のweb広告とはかなり違った軸で訴求しています。あと、実店舗を持つお客さんってそもそもweb広告をやってなかったりするんですね。チラシを配ったりするんですが、僕らってチラシを配られても見ないし、受け取らないことも多いと思うんです。

でも、位置情報広告に変えると、今までチラシを受け取らなかった人たちにもリーチできる。新聞の折り込み広告として出してる店舗さんに、「新聞を取っていない若者にも折り込みチラシが届きますよ」と伝えています。

――面白いですね。その中で、かろさんはどういったお仕事をされていらっしゃるんですか?

かろ 僕は、広告を出すシステムにはまだ携わってなくて。入稿部分、「この地点から、半径何メートル以内にいる人にこの期間、この広告を出す」というものを簡単に設定できる管理画面を作っています。使用する人は代理店とか広告主になります。

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「ルビンの壺」は、情報が少なすぎる?

――大学では心理学を専攻されたということですが、これはどういった理由だったんですか?

かろ 単純に、面白かったからですね。元々僕は医学部の保健学科にいたんですが、1年間勉強して「心理学の方が面白いな」って思って途中で学科を変えたんです。

――心理学にハマったきっかけは、どのあたりだったんですか?

かろ まず大学1回生の時に受けた一般教養の授業で、出てきた心理学の講義が軒並み面白くて。興味を持ったのは、映画です。映画のスクリーンって、のっぺりしていて全く奥行きが無いですよね? でも、映像がうつるとどこまでも奥行きがあるように見える。スクリーンは真っ平らなままにも関わらず。この現象を科学的に解説した授業があって。特に五感に関する心理学はものすごく面白くて、ハマりました。

例えば「カクテルパーティー効果」と言って、ザワザワしているパーティーでも自分の名前を呼ばれたら気付けるのはなぜか、また有名な「ルビンの壺」も、なんで壺に見えたり顔に見えたりするのか、人間の五感って正確なようで不正確なんですよね。その面白さを研究していました。

――ルビンの壺って、その人の精神状態でどちらに見えるか変わってくるものですか?

かろ いや、精神状態で見え方が変わってくるということが重要なのではなく、「見え方が安定しない」ということがあの図で重要なことなんですね。

人間って、世界を見る時に背景と物体を勝手に分けて知覚するようにできているんです。例えば今ここで「白い壁は背景で、人という物体がいて」と見えるみたいに、ちゃんと物体と背景を分離して知覚できていると思うんですけど、これって当たり前のようで実はすごいことをしていて。

例えば機械でパシャっと写真を撮ったら、その写真はただの点の集合。情報が一気に失われちゃうんです。人間の目も実はカメラと同じで、目の奥に網膜があって、網膜に写った時点で、ただの点の集合になるんですよ。「それが何なのか」という、人間にとって大事な情報が失われてしまうんです。

その中からどれを背景にして、どれを物体にしてっていうのを頭の中でものすごく組み立てて、ようやく自分で背景と物体を認識することができる。その背景と物体を分ける時のてがかりがいっぱいあるんですけど、そのてがかりが極端に少なくなると背景と物体が入れ替わったりするような不安定な見え方をするんです。

それで、ルビンの壺くらいシンプルになると、背景と物体を認識することができるてがかりがすごく少ない。だから、どちらにも見えるんですね。

――なるほど、そもそも「ルビンの壺」自体がシンプルすぎるからなんですね。

かろ そうなんです。背景と物体を区別するためのてがかりはたくさんあるんですが、一つ一つは結構単純で。今この空間にも動いているものと動いていないものがあると思うんですけど、「人間は動いているもの、背景は動かないもの」っていうすごい単純なロジックで分けてたりとか。

あとはもちろん人間っていうカテゴリで認識したり、ペットボトルというカテゴリで認識したりするような、今までの知識を元に物体と背景を分けたりしてる仕組みもあります。あのシンプルな1枚の図形は、人間がどうやってものを知覚しているのかというについてすごく色んなことを教えてくれるんです。

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「ルイーダの酒場」で出会った現職の上司

――ジオロジックさんに入社されたきっかけは、どのあたりなんですか?

かろ きっかけは2つあって、前職で途中から副業を始めたんですが、その副業先がジオロジックだったんですね。もうひとつは、上京した1ヶ月後くらいに「このまま友達ができなかったらこの東京砂漠で死ぬ、孤独死する」って思ったことです(笑)。

それで、東京に来てから、そこら中にある立ち飲みバーに行きまくった時代があったんですね。自宅周辺の飲み屋は、大体行きました。で、その中でも相性が良い飲み屋があったんですけど、そこで仲良くなったエンジニアが実は今の上司なんです。まだジオロジックでは半年経ってないくらいなんですけど、その上司とは3年近い付き合いなんですよ。

――それはすごく働きやすそうですよね。

かろ そうなんですよ。だからそのバーを僕は「ルイーダの酒場」(編集部注:『ドラゴンクエスト』シリーズに登場する、仲間を集める酒場)って言ってるんです(笑)。しかもその仲良くなった現上司、実はお向かいさんだったんです。バーで初めて会って、飲んで、「そろそろ帰るか」ってなって歩いてたら、いつまで経っても付いてくるという(笑)。

――すごいですね(笑)。

かろ 窓開けたら「ああどうも」みたいな感じで。完全に余談なんですけど、「アドレス交換するのも面倒くさいから、俺が青色のタオルを干したら今日飲みに行くって合図だから」ってやりとりを始めたり(笑)。

――(笑)。今の業務を行なう上で大事にしているモットーや、好きな言葉があれば教えてください。

かろ 上司の言葉なんですけど、「楽しくなければ意味がない」です。仕事をする上では楽しくなければ意味がない、すごく大事にしたいです。

もちろん成果は大事なんですけど、長く成果を出し続けるには「楽しい」軸が重要。あと、楽しく仕事をしている人って一緒に働きたいなって思うし、そう思ってほしい。きっと採用もしやすくなる。良い面がいっぱいあると思うんですね。

――ご自身の成長のために日々行なっていることはありますか?

かろ 好奇心を我慢しないっていうところですかね。僕の場合、新しいことに関する好奇心ではなく、どっちかというと「解剖に関する興味」みたいなものがあって。使ったことがないライブラリを使う時に、「これは便利だけど、中はどうなってるんだろう?」みたいな感じで。中を見るとやっぱり面白いと思ったり。

「どうしてこうなっているんだろう」っていう好奇心は、常に持ちたいと思ってます。やっぱり小さい頃から科学が好きだったので。どうして目が見えるんだろう、どうしてペットボトルはこの形なんだろう、って。日常に潜む疑問ってめちゃくちゃいっぱいあると思うので。そこからいろいろなところに繋がってくると思います。そこは、仕事にも取り入れていきたいですね。そうした方が絶対面白い。どんな仕事も、それで面白くなるんじゃないかなと。

――本当にそうですね。「なぜ」がひとつあるだけで、全然違いますよね。

かろ 「なぜ」って芋掘りみたいなところがあって、引っ張っていくと地下深くで繋がっているところがありますよね。それが、科学だったりするんですよ。

エンジニアって抽象化がすごく好きなところがあると思うんですが、科学も自然界に起こる色んな事象を抽象化してまとめたものですよね。逆に言えば、抽象化されたものをひとつ知っておけば、色んな事象に対して応用できる。科学ってすごくコスパが良いんですよね。そのコスパの良さには、1つの出来事に対して「なぜ? なぜ?」と考え続けることが大事です。

――めっちゃ大事ですね。歳を取ると知識が増える一方、若い頃に比べて「なぜ」を問わなくなる部分もありますから。ちなみに、将来の夢は「物書き」とお書きになってますが、それはエンジニアと並行してですか?

かろ 悩んでます。まず、webエンジニアのキャリアは不明瞭だと思うんですよ。SEは50代、60代はキャリアとして実際にモデルケースがいますけど、webエンジニアって若いから40代以上は激減するんです。今40代以上の人がなかなかいないから、これから先どうなるか全然想像がつかない。

戦い方を変えないと、淘汰されていくのかなと思いますね。ちょっと様子見なところはあります。ただ、物を書くのは絶対にやっていきたいですね。

――エンジニアリングと心理学、2つの専門性をすでにお持ちなので、たぶんいくらでも書けると思いますね。それこそnoteとかでまず書いてみるとか。この掛け合わせはかなりレアだと思うので、ブルーオーシャンな気がしますね。

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モデルケースが無いのは、ある意味チャンス

――ここからは、かろさんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

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・事業内容 5

「事業内容」はやるんだったらインパクトがある方が絶対面白いっていうのがあって。それだけですね。自分がやってることの影響が大きければ大きいほど楽しいって僕は感じるってところですかね。

・仲間 5

仲間はいつも一緒に働いている人なので愉快な方が良いなと。Wantedlyの記事みたいな感じで愉快に働ければ面白いなっていうところはありますね。

・専門性向上 3

「専門性向上」は生きるためには絶対に必要っていう感じですね。あと、結局は面白いですからね、技術って。

・お金 3

やっぱり文章を書く時に、いろんなものに触れておかないと書けなくなるので。映画にせよ本にせよ、積極的に摂取していくためにある程度のお金が必要ですね。

――インプットやめたら本当に書けなくなりますよね。

書けなくなります。恐ろしいですね本当に。

・働き方自由度 2

他とのバランスで2ですが、割り振れるんだったら3にできてもいいかなと。

――なるほど。他とのバランスで2なんですね。

そうですね。ただ、完全に自由だと律するのが辛いっていうのがあるんで。例えば僕は会社に行くとそれなりに元気が出るんです。一時期、前の会社でほぼリモートでやった時があったんですけど、精神的に萎えるというか。

何も大変なことしてないけど辛くなる部分があって、会社に行くと元気になるんですよね。そういう意味で、自由過ぎない方が好きです。

――単純に、声を発しないから元気が無くなるっていうのもあるかもしれないですね。

あるかもしれないですね。無理矢理でも刺激を作らなきゃいけない。

・会社愛 2

事業内容が好きだったら、会社も好きになるかなと。

――最後に今キャリアに迷っているエンジニアの方に向けてメッセージをお願いできますか?

かろ 人によるところは大きいと思うんですけど、モデルケースが無いのはある意味チャンスだと思っていて。自分で面白いと思ったやり方を作れば、それがモデルケースになる。たとえば僕だったら文章を軸にいろいろ仕掛けていけたら。エンジニアリングと自分の好きなことを突き詰めていけば、それが新たなモデルケースになるんじゃないかと思います。

――たしかに軸が2つあると強いですよね。

かろ 色々と戦い方が楽になりますね。

<了>

ライター:澤山大輔


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